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「革新システム」構築を加速するノンプログラミング開発の行方すご腕アナリスト市場予測(2/5 ページ)

» 2015年10月15日 10時00分 公開
[片山治利ガートナー ジャパン]

ノンプログラミングツールの普及状況は?

 ではここで、ノンプログラミングツールがどのように利用されているのか、ガートナーの2014年の調査では図2のような結果になった。関連してテストツールの使用状況に関する別の調査結果も掲げる。

ノンプラグラミングツールの利用状況 図2 ノンプラグラミングツールの利用状況(左)出典:ガートナー(ITデマンド・リサーチ)/調査:2014年5月(右)出典:日本情報システム・ユーザー協会「ソフトウェアメトリックス調査2014」

 2014年の調査結果ではあるが、プログラム自動生成ツール(=ノンプログラミングツール)は全体では78.5%の企業が「使用したことがなく、予定もない」と答えている。現在使用している企業は4.1%とまだまだ普及しているとはいえない状況だ。

 その一方で従業員1000人以上の大企業においては「今後使用を検討したい」とする企業が29.6%を占めており、現在使用中の企業も8.3%と比較的よく使われている。過去にツールを利用したことがある企業も含めれば約4割の企業がノンプログラミングツールに関心をもっていることが分かる。

なぜあまり普及していないのか?

 まずあまりツールが普及していない要因を考えると、そもそもコード自動生成ツールがこれまで記録システムや差別化システムに関してあまりメリットを生んでいなかった事情がありそうだ。自動生成ツールによって出力されたコードは、基本的に人間が、直接手を加えて改修することは想定されていないが、手を加えてしまいツールの特徴が生かせないケースも見られた。

 記録システムや差別化システム中心のIT利用では、ユーザー側にも、開発を担当するSIer側にも、ツールの特徴を理解した上で採用しないと、利用メリットは非常に限定的なものになる恐れがある。現在では生成したコードを修正することができるツールも出てきてはいるものの、事情がまったく変わったといえるほどではない。

大企業が積極的なのはなぜなのか?

 大きく変わっているのがIT部門側の事情で、高齢化による熟練スキルを持つ技術者の退職や補充すべき技術者の不足が深刻化しており、求められるアプリケーションに対して品質や納期の面で対応が難しくなっているのが実情だ。

 その一方ではビジネスへの俊敏な対応が求められ、新しいシステムの早期リリースや既存システムの迅速なバージョンアップのニーズがかつてよりも強まっている。革新システムによるイノベーションを望む圧力も強くなる一方だ。従来の手作業による開発やテストではとてもこれには対応しきれない、何とかしなければいけないという思いを募らせる企業は、特に大企業には多いようだ。

 そこで、短期間でアプリケーションを開発し、迅速にリリースして利用をスタートさせ、また短期間で改修、バージョンアップしたアプリケーションを継続的にリリースしていくアジャイル、リーン手法が注目されることになる。比較的規模の小さい、閉じられたアプリケーション領域でも、ツールの利用が注目されている。ノンプログラミングツールはこれらの領域で大きな役割を果たし、超高速開発に大きく貢献するツールとして注目されるようになってきたのが現状なのではないかと考える。

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