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「革新システム」構築を加速するノンプログラミング開発の行方すご腕アナリスト市場予測(3/5 ページ)

» 2015年10月15日 10時00分 公開
[片山治利ガートナー ジャパン]

ノンプログラミングツールに本当にコーディングスキルは必要ないのか?

 さて、ノンプログラミングツールは冒頭に記したようにコーディングが要らないのが特徴である。人間は外部設計を行い、その仕様(詳細設計情報)をツール上で入力(設定)する作業を行う。ツール側ではその仕様にのっとった詳細設計を自動実行し、コードを生成、出力、場合によってはコンパイルまでを行う。外部設計を入力したあとには基本的に人間の作業が入りこむ余地がない。

 ツールに実装されている一定水準のプログラミング技術やノウハウが生かされており、複数の開発担当者が力を合わせて開発する場合で生じがちな品質のばらつきがないのも特長だ。複数開発者がかかわる場合はプロジェクトごとに「コーディング規約」を作り、できたコードはそれにちゃんとのっとっているか否かをチェック、レビューする工程が必要になるが、それも省略できることになる。もちろん人的なミスの発生も排除できるわけだ。

 ただし出来上がったアプリケーションは、その後人間の手によって入念にテストを行う必要はある。テスト自動化ツールを利用することもできるが、テスト工程をなくすところまではどんなツールを使っても無理だし、そうするべきでもない。

 問題はテストで不具合が見つかった場合だ。そこで技術者がコードを見て、修正できるところは修正する手法を利用できるツールもあるにはある。しかし反復して開発を繰り返す手法をとる場合には、それがかえって問題になることもある。

 一般的には、ツールの画面上での設定内容の見直しや、ツールが自動生成した詳細設計のレポートを参照し、技術者が問題箇所を発見してその部分を直す方法がとられている。現在のノンプログラミングツールは、優れたレポーティング機能を備えており、人間が作る詳細設計と同等か、もっと読みやすいレベルのドキュメントが出力できる。詳細設計のレベルで修正すれば、再度コードを自動生成して簡単に修正が済むことになる。つまり、開発の属人化を防ぎ、人的ミスをなくし、品質を平準化し、修正など保守作業をやりやすくしてくれるというわけだ。

 もっともツールを初めて利用する場合には、アジャイル開発がすぐには定着しないのと同様に、それまでに比べてそう大幅に工期短縮することはできないだろう。しかしいったんツールの利用に慣れてしまえば、その後の工期短縮は難しくない。多くの技術者がかかわるプロジェクトが、ツールの適用により担当者を半分から3分の1にまで削減できた例もある。そのようにして開発チームがコンパクトになればなるほど、チーム間での情報共有やコミュニケーションが円滑になり、ますます工期が短縮する効果が見えてきている。

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