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ワークフローツール導入後の「課題あるある」から製品の見極め術を学ぶIT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2015年11月02日 11時00分 公開
[小池晃臣タマク]

自由度の低い業務フローになってしまった

 これは大企業に多いパターンだが、上記のような高度だが複雑な機能のワークフローツールを導入した際に、コアな業務のフローと同じ基準でちょっとした書類の回覧などにも適用してしまうと、状況に応じたフロー変更などの自由度が落ちてしまうことがある。

 例えば、書類の書式を少し変えたいと思っても、運用変更となるためにさまざまな部門に通知し、稟議(りんぎ)をかけて承認や決裁を得なければならないといったように、いちいち大げさな事態になってしまうのである。ワークフローツールを入れたばかりに、無駄なフローが増えてしまったのでは本末転倒だ。

 そうならないために、さまつな手続きに関してはよりシンプルで従来ながらの紙に近い運用(PDFやWord、Excel文書の添付による回覧と電子押印など)が可能なワークフローツールをメインのフローとは別に適用するなど、使い分けを行っている企業も多い。

ベンダーが市場から撤退してしまった

 ワークフローツールに限らずIT製品にはつきもののリスクではあるが、とりわけワークフローツールのベンダーは比較的規模の小さなところが多いこともあり、製品提供を急に止めてしまうといった事態が起きがちである。

 ベンダーが市場から撤退してしまうとバージョン更新などのサポートも提供されなくなるため、いつまでたっても同じバージョンを使い続けることになる。ユーザーがツールを使い慣れていれば問題ないと思われるかもしれないが、WindowsなどのOS側はバージョンアップを適時実施するため、どこかで不具合が発生しても対応できなくなる恐れがあるのだ。

 こうなってしまうと別のベンダーの製品にリプレースするしかなくなる。まずは導入前にベンダーのシェアやこの分野に対する姿勢、企業としての体力などをしっかりと見極めるようにしたい。

拡張性が乏しいツールを導入してしまった

 ワークフローツールの中には、個々の手続きに特化していて他の手続きとの連携機能が十分に備わっていない製品もある。このような製品を導入してしまった場合、例えば当初は残業や有給休暇の申請などのために導入したが、後に経費精算も行いたいとなると別のシステムを導入することになる。

 それで現場がうまく使い分けられるのならばアリかもしれないが、必ず問題になるのがインタフェースだ。この手続にはこのシステムのこの画面で入力、この手続はこっちのシステムの画面と、手続きごとにいちいち異なるインタフェースを使わねばならないというのは現場のオペレーションの大きな支障となってしまう。なるべくどの業務も統一された画面でオペレーションでき、申請や承認処理がスムーズに行えるような製品を選ぶようにしたい。

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