映像と音声によって遠隔地同士を結び、打ち合せや会議を可能にする遠隔会議システム。専用端末を利用したビデオ会議(テレビ会議)やPCを利用したWeb会議、音声のみの音声会議など、遠隔コミュニケーションの手段は幾つかの方法があることはご存じの人も多いはずだ。今回は、遠隔会議の最新事情について紹介してみたい。
現在、遠隔会議を提供するベンダーは数多く存在しているが、多地点接続装置であるMCUをどう扱っていくのかを軸に、大きく3つの動きがある。
まず1つは、専用ハードウェアとしてのMCUを中心に、専用端末やクライアントソフト、Webブラウザなどさまざまな環境からアクセスできる仕組みを提供する動きだ。当然ながら、専用MCUを自社で保有しているベンダーがその中心になる。
次に挙げられるのが、MCUの機能を仮想化されたソフトウェアとしてクラウドサービスを展開し、あらゆる環境からアクセスできるような仕組みを提供しているベンダー。主にはWeb会議を提供するベンダーにこの動きが多いものの、中には専用端末を提供するベンダーでありながら専用ハードウェアのMCU提供をやめ、クラウドサービスに絞ってMCU提供する戦略を採用するところもある。そして最後に、両者の動きをにらみながらサービス提供しているベンダーだ。
基本的には、遠隔会議に利用される標準プロトコルのH.323やSIPなどに対応することで、異なるベンダー同士の遠隔会議ツールを連携させられる。これらのプロトコルに最近話題となっている「WebRTC」やビジネスシーンで幅広く利用されているMicrosoft Lyncなどの環境を加えることで、より使いやすい遠隔会議基盤を構築できる。
これらのプロトコルが1つのものに統合されることはないと考えられるが、各プロトコルに対応したクライアント環境をMCUが集約、翻訳し、上手に制御していくことが、これからの大きな流れになるだろう。
例えば、シスコシステムズでは「Cisco Collaboration Meeting Rooms(CMR)Cloud」と呼ばれるクラウドサービスを展開しており、同社のWeb会議システム「WebEx」を中心に、H.323やSIP対応の専用端末やMicrosoft Lyncとの連携がクラウド上で実現できる。あらゆるものをクラウド上で柔軟に連携させる時代がもうやってきているのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。