メディア

どこに置く? 何に使う? もっと戦略的なバックアップを考えるIT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2016年01月18日 10時00分 公開
[宮田健キーマンズネット]

最も重要なのは「確実にリストアできること」

 当然ながらバックアップのゴールは、「万が一の事態が発生しても、データ/アプリを含めたシステム全体を元に戻せること」だ。この命題を考えるために重要な指標は、「目標復旧時点(RPO:Recovery Point Objective)」と、「目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)」であることは間違いない。だが、これら2つの教科書的な指標は、対象となるシステム次第で大きく変わってしまう。

 バックアップメディアとしては、以前ならば「テープ」「DVD-R」「BD-R」などが選択肢としてあげられていた。しかし、テラバイト級の単位でバックアップが必要な今日、もはや対象とするバックアップメディアは「HDD」と決め打ちしてもいいかもしれない。しかしその場合にも「3-2-1ルール」に合ったバックアップ手法を選択するといい。

 これは「3つ以上のバックアップデータを」「2つ以上のメディアで」「1つはオフサイトに保管する」というものだ。もし地方の事業所がある場合には、バックアップデータが入ったメディアを送付するか、ネットワーク経由で転送するという方法が考えられる。地方に事業所がない場合でも、最近では安価でストレージが利用できるようになった「クラウド」を活用し、クラウド上にバックアップを行う方法がある。

「RPO」「RTO」とは?

 RPOは、システムをどの時点まで巻き戻すのかを明確にする指標。例えば、RPOを「当日の営業開始時点」としていた場合、バックアップは前営業日の業務終了後に取得しておかなければならない。一般的な業務では当日の朝まで巻き戻すことで許容できるかもしれないが、もっとクリティカルなシステムではバックアップの取得を「RPOとして許容できるタイミング」に行う必要がある。

 RTOは復旧にかかる時間を表す。これはバックアップのリカバリ作業時間に関係するため、RTOを極力短くするためには、バックアップとしてシステムを二重化するなどの戦略が必要になる。

 RTO、RPOは限りなくゼロに近い値が望まれるが、そのためにはバックアップシステムに多大な投資が必要となる。そのため、自社のシステムでどの程度のダウンタイムが許容できるのか、あらかじめ検討しておくべきだろう。

RPOとRTOの目安 RPOとRTOの目安(出典:arcserve Japan)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。