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ビッグデータの“その先”にあるデータ仮想化ソリューションって何だ?【後編】IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2016年01月26日 10時00分 公開
[小池晃臣タマク]

ビジネス面でのメリット

 データ仮想化ソリューションのビジネス面でのメリットは、その適用領域を考えると分かりやすい。まず何と言っても大きいのが、BIツールなどによるマーケット分析、経営ダッシュボードをはじめとした多種多様な分野でのリアルタイムな分析やビジネスの可視化が可能となる点だ。これに加えてデータの統合やM&A、システム移行など、その適用範囲はかなり広い。

データ仮想化ソリューションの適用領域 図2 データ仮想化ソリューションの適用領域(出典:シスコシステムズ)

 1つの例として、実際に国内の金融機関でも行われているM&Aでの活用メリットを紹介しよう。特に金融機関の場合、M&A時には、買収する側にシステムと合わせてデータも“寄せて”統合するというのがこれまで一般的であった。そしてデータ統合には3年ほどの期間を要することが多く、システム移行時にはビジネススピードを減速させてしまうという問題もある。

 それがデータ仮想化ソリューションを用いることで、データを物理的に完全統合せずとも、論理的に統合することが可能となるのである。グローバルでの企業買収が頻繁に繰り返される昨今、ビジネスのスピードをいかに損なわないようにするかが大きな課題となるが、データ仮想化ソリューションはそうした課題の解決に最適な存在として世界的にニーズが高まっているのである。

 ただし注意が必要なのが、データ仮想化ソリューションは基本的にデータの「リードオンリー」に適したソリューションであるという点だ。そのため企業間統合などの場合、データの頻繁な書き込みが必要になる基幹系システムのデータベースは再構築が求められる点に変わりはない。BIツールに代表される、データを利活用してデータからビジネスに必要な情報や知見を生み出すようなシステムにこそ、その真価を発揮するのがデータ仮想化ソリューションだといえるだろう。

仮想統合と物理統合の使い分けが大事

 注意したいのは、データ仮想化ソリューションは決して万能ではないという点だ。分かりやすいのがヒストリカルな傾向を把握したい場合だろう。代表的なERPシステムの中にも、現時点の情報しか持っていないものは多い。そうしたシステムが過去に扱ったデータも対象とするには、やはり物理統合が必要となってしまうのである。

 また、仮想統合の技術的な問題として、大規模データや複雑で高度なデータ変換には適していないというものがある。こうした特徴を踏まえて、まずデータ仮想化ソリューションで試行した後、物理統合が必要な場合にはガチッと統合を図るというアプローチが望ましいといえるだろう。

仮想統合と物理統合の使い分け 表1 仮想統合と物理統合の使い分け(出典:インフォマティカ)

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