CRMは、初期費用は比較的簡単に計算できますが費用対効果が見えにくいシステムだ。CRMを導入する場合、主にどのようなコストが発生するのか、またどのようなコスト削減が期待できるのか。
CRMを選ぶ際には「コストと機能のバランス」が重要な検討事項であり、オンプレミス型(自社サーバ構築型)かクラウド型にするかでも、コスト面で違いが出てきます。そしてCRM導入を検討する時に考えなければならないのが費用対効果(導入や運用にかかるコストに対する効果)です。
CRMは、初期費用は比較的簡単に計算できますが費用対効果が見えにくいシステムでもあります。CRMを導入する場合、主にどのようなコストが発生するのか、またどのようなコスト削減が期待できるのかを見ていきます。
CRMのコストは、大まかにいうとソフトウェア、ハードウェア、カスタマイズ費用、トレーニング費用、サポート費用の5つに分けることができます。
この中で一番複雑なのは「ソフトウェア」で、選択するソリューション(オンプレミス型かクラウド型か)、ユーザー数、選択する機能、月額ライセンス料(クラウド型の場合)によって、コストにかなり幅が出てきます。
その他初期設定や構築、過去の顧客データなどのインポート、他の社内アプリケーションとの統合などの費用が導入時にかかり、導入後はソフトウェアのアップグレードやメンテナンス費がかかることも頭に入れておいてください。ハードウェアについては、新規購入する場合はその費用、そして初期設定費、保守費用などがかかります。
CRMはさまざまな機能を備えていますが、その長所を最大限に引き出すには自社のニーズに合わせて何らかのカスタマイズを行う必要があります。この費用も、社内で行うか、業者に依頼するかによってかなりの差が生じます。どこまでカスタマイズすべきかという判断は難しいですが、多少費用がかかっても自社のニーズに合わせた方が、導入後の利用率や効果などで十分元を取れるケースが多いようです。
トレーニング費用には、ユーザーへの操作説明やマニュアルの作成などが含まれます。せっかくCRMを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。また導入時だけでなく、ソフトウェアのアップデートや新規ユーザーが加わった場合にも、トレーニングを行う必要があります。
そしてトラブルや不明点の発生時には、CRMシステム業者のサポートが必要となります。こうしたサポートについては、毎回料金を支払う場合もあれば、年額でサポートに加入する場合もあります。
CRM導入及び運用に必要となる、主なコストについて説明してきました。今度は、導入によってどんな効果が期待できるかを幾つか挙げてみます。
まず、顧客ニーズにあった製品やサービスの提案などにより、顧客1人当たりの「売り上げアップ」が期待できます。また購入履歴や属性が似た他の見込み客に、類似の製品を提案するといった営業活動も可能になります。
さらに客情報と営業情報が一元管理できるので情報の入力が一度で済み、同じ情報を複数回入力するといった無駄がなくなります。また各担当者が入力したデータが即座にシステムに反映されるため、常に最新の情報を全部署で参照、共有することができます。
例えば、営業活動の進捗状況なども即座に確認できるので、報告書作成が不要となります。営業活動全体が「見える化」され、現在の状況や問題点が把握しやすくなります。そしてCRM導入によって獲得できる「時間」を、より生産的な活動に振り分けられるようになります。
費用対効果の計算は簡単ではありませんが、導入前にどのくらいのコストがかかるのか、またどのくらいの効果が期待できるのかを計算し、自社に合ったCRMシステムを選ぶようにしましょう。
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