CRMの力を100%引き出すには、導入前にどのような準備を整える必要があるのか。CRMシステムの導入を成功させるために事前に確認すること、検討すべき事柄などを挙げる。
営業、マーケティング、カスタマーサービスなど、さまざまな分野での効果が証明されているCRM(顧客管理)システムですが、社内の全ての部門が連携して活用してこそ、本来の力が発揮されます。
それではCRMの力を100%引き出すには、導入前にどのような準備を整える必要があるのでしょうか。今回はCRMシステムの導入を成功させるために、事前に確認しておくこと、検討すべき事柄などについて、幾つか挙げていきたいと思います。
(1)業務の分析
CRMの導入前には、どのような形や手順で実際の仕事が行われているのか、その実態を把握する必要があります。実際にデータの入力を行うことになる営業担当者を対象にヒアリングやアンケート調査を行い、要望や利用目的も明らかにしておきましょう。
業務をよく整理、分析して、プロセスのどの部分をCRMシステムによって改善すべきなのか、現状の課題が何なのかを明確にし、定量的な指標を決定していく必要があります。
(2)現在保有している顧客情報と入手経路の確認
社内のどの部署が、どのようなフォーマット(紙のデータ、Excelなどの電子データなど)で、どのくらいの顧客情報を持っているのか、その種類と量を把握します。一覧表にまとめておくと、あとで確認しやすくなります。
また同時にこれらの顧客情報の入手経路を確認します。営業担当が名刺や受注伝票から入力したものなのか、アンケートなどによって入手したものなのか、インターネットから集めたものなのかなどを確認、整理しておきましょう。
(3)他のシステムとの連携
CRMシステムの導入に当たっては、既に稼働している他の社内システムとの連携ができるかどうかを確認する必要があります。社外で活動する機会が多い営業担当者が活用する場合は、スマートフォンやタブレットとの連携が、顧客への適切かつ迅速な対応へとつながるだけでなく、報告業務の効率化にも結び付くでしょう。
情報システム部門と協力して必要なシステムの洗い出しを行い、CRMシステムとの連携を確認しましょう。
(4) 受け入れ体制の確認と関係部門との連携
CRMシステムの導入を情報システム部門に一任せず、社内の全ての部署から代表者を選んでプロジェクトチームを編成するなど、会社全体で導入する準備を整えていきましょう。
また営業担当やカスタマーサービス部門など実際にデータを「登録する部門」と、「マーケティングなどデータを利用する部門」を確認し、整理しておきます。例えば営業など、データ入力の業務負担が増える部門に理解を求めるとともに、CRMシステム導入によって実現できる目標(コスト削減や売上増など)を説明、了承を得ておくことが重要になります。
(5)データ移行費用、保守
CRMを導入する際には、現在の紙データを電子化したり、既存の電子データを新システムに移行したりするなどの作業が必要となります。移行作業を社外に委託する場合は、事前に見積もりをとっておきましょう。
また意外と忘れやすいのが、導入後の保守や管理をどのようにするかの検討です。誰がどのようにシステムを管理するのかについても、きちんと確認しておくことが重要です。
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