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事例でつかむ「マニュアル作成ツール」7つの活用ポイントIT導入完全ガイド(2/2 ページ)

» 2016年06月01日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]
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自社製品・サービスのマニュアルを迅速に公開

 業務マニュアル作成ツールと聞くと、社内で利用されるマニュアルの作成や運用のために使うものと思うかもしれない。だが、同じツールを使って、自社の製品・サービスの設定方法や利用方法をレクチャーする手順書や説明書を内製し、ユーザーに提供する企業も多い。

更新が早いクラウドサービスのユーザーマニュアル

 特に、クラウドサービスを主戦場とするITベンチャーなどでは、社内の人的リソースを開発やプロモーションに集中せざるを得ない規模のところも多い。その結果、マニュアル類の充実をはじめとした顧客満足度向上の取り組みが後回しになってしまう。

 では、マニュアル作成を外部業者に委託するとどうだろうか。日進月歩のネットビジネスの世界だ。毎週のように新機能の追加やアップデートが行われており、マニュアルが納品されるころには、情報が陳腐化している可能性が高い。

 より少ない人手や時間、予算の中でユーザーに充実した情報をタイムリーに提供するために、業務マニュアル作成ツールを使ってユーザーマニュアルを効率よく内製する企業が増えている。クラウド型のマニュアル作成サービスを使って、マニュアルをWebサイト上で公開したり、プレスリリースにそのURLを記載したりといった活用を試みている企業が登場している。

動画を使った宣伝用コンテンツもマニュアル作成ツールで

 製品やサービスの魅力をアピールするためのプロモーション用コンテンツを、業務マニュアル作成ツールを使って作成する例もある。業務マニュアル作成ツールは、動画を簡単に取り込んで編集できたり、コンテンツをWebサイトやクラウドサービス上に簡単に公開できたりする。動画、静止画、音声、スクリーンショット、テキスト、スライド資料などを自在にミックスした、プロ顔負けのリッチなプロモーションコンテンツを内製することも不可能ではない。

 例えば、ある証券会社では、自社サービスの魅力や使い方を紹介する動画コンテンツを社内で作成し、YouTubeで定期的に公開している。従来は、このコンテンツを1本作成するたびに専用スタジオを借り、機材をそろえて3人掛かりで2週間の制作期間を要していた。しかし、マニュアル作成ツールの動画編集機能を活用したところ、わずか1人で半日程度の作業で同等のコンテンツを制作できるようになった。この結果、それまで毎月2本の動画を公開するのがやっとだったのが、月10本のペースで制作・公開できるようになったのだ。

 もちろん、インターネット上に公開するコンテンツだけでなく、例えば営業マンが顧客に自社製品・サービスの魅力をアピールするために使う販促コンテンツなどもツールの機能をうまく活用することで手軽に内製できるようになる。こうした目的のためだけに業務マニュアル作成ツールの導入を検討してみるのも、十分“アリ”だろう。

Eラーニング教材も業務マニュアル作成ツールで内製化

 コンテンツ内製化のメリットは、Eラーニング教材にも適用できる。従来、社内教育・研修用のEラーニングのコンテンツは、外部から購入するか専門業者に制作を依頼するほかなかった。特に、自社に特有の専門知識や業務手順に関するEラーニング教材は、専用のコンテンツを一から制作しなくてはならず、どうしても業者に頼らざるを得なかった。

 しかし、コンテンツに含める内容が専門的であればあるほど、制作側に正確な情報や意図を伝えることが難しく、自ずと制作にかかる時間やコストはかさんでしまう。例えば病院の看護師向けの研修コンテンツなどは、その典型例だ。しかしかといって、自分たちで直接コンテンツを作ろうとしても、内容に関する知識はあるものの、コンテンツを制作するための技術や環境がない。

 業務マニュアル作成ツールの中には、Eラーニング教材を制作するための専用機能を備えたものもある。例えば、作成したコンテンツをEラーニングでよく使われる「SCORM形式」で出力できるほか、練習問題を簡単に作成するための機能などを備えている。

コラム:伝統工芸の「匠(たくみ)の技」もデジタル伝承

 ちょっと変わった事例として、伝統工芸の「匠の技」を後世に残すために業務マニュアル作成ツールを活用する例を紹介したい。後継者のいない伝統工芸の職人が、自らが持つ希少な技術をデジタルアーカイブとして後世に残すためにクラウド型マニュアル作成サービスを活用してインターネット上に公開しているのだ。

 同様の課題は、何も伝統工芸の世界に限らず、多くの中小製造業においても見られる。熟練の職人や工員が持つ技術をいかに次世代に引き継いでいくか。後継者不足に悩むもの作り企業の多くが直面する課題だが、これを解決するために業務マニュアル作成ツールを使い、より効率的な技術伝承に取り組む企業が増えているのだ。

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