メディア

悪徳業者にだまされないための「データ復旧ソリューション」選びのポイントは?IT導入完全ガイド(3/4 ページ)

» 2016年06月22日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]

データ復元サービス業者を選定する際の注意点

 ディスク装置は精密機器であり、その破損状態の精査やデータ復元を行うには、本来はクリーンルームや専用の設備を備えた環境下で、専門スキルを持つ技術者が作業する必要がある。そのため物理破損が疑われる場合は、迷わずデータ復元サービス業者に診断と復元を依頼するのが無難だろう。

 また、IT関連の知識にあまり自信がないユーザーにとっては、たとえ論理破損であることが明確であっても、自身でデータ復元ソフトウェア製品を導入しての復元作業は、ハードルが高く感じられることだろう。そんな場合も、データ復元サービスは心強い味方になってくれる。

 しかし一方で、データ復元サービス業者の中には、作業やサービスの品質に問題がある業者も存在するため注意が必要だ。データ消失のリスクに直面するとどうしても心理的な焦りが生じて一刻でも早く作業を依頼したくなるが、以下のような点に留意して冷静に信頼できる業者を選びたい。

「復元率**%!」などの宣伝文句に注意

 データ復元サービス業者をインターネットで検索すると、データ復元率の高さをうたう業者が多くヒットする。ただし言うまでもなく、自身が依頼するデータが実際に復元できるかどうかは論理破損や物理破損の状況によるため、必ずしも宣伝文句通りの復元率が実現できるとは限らない。

 また、復元率を算出するための指標や計算式も業界内で標準が確立されていないため、宣伝文句で謳われている復元率が実効性のある数字かどうかも一概には判断できない。そのため、こうした数字は安易にうのみにせず、あくまでも参考情報程度に留めておいた方がいいだろう。

しつこい勧誘に注意

 データ復元サービス業者の中には、一度問い合わせをするとその後繰り返しサービス利用の勧誘をかけてくるところもある。そうした業者がよく使う常とう文句に「時間がたつと、復元できる可能性がどんどん低くなりますよ」というものがあるが、マシンの電源を落としておけば、基本的にはいくら時間が経過しても復元確率が低くなるようなことはない。こうした勧誘をしつこくかけてくる業者は、疑ってみた方が無難だろう。

セキュリティ対策は大丈夫か

 データ復元サービスを利用する際には、マシンやメディアを丸ごと業者に預けることになる。従って、その中に保管されている情報が悪用されたり、外部に漏えいしたりしないよう、万全のセキュリティ対策を備えた業者を選びたい。ISO27001/ISMSやプライバシーマークなどセキュリティ関連の公的認証を受けているかどうかは、その業者のセキュリティ体制を判断する上での1つの判断材料になるだろう。

直接の持込や出張サービスは可能か

 ほとんどのデータ復元サービス業者は、メディアやマシンの直接持ち込みだけでなく、郵送での送付も受け付けている。しかし郵送の場合「運搬途中で破損がさらに広がってしまうのでは?」という不安を拭えない方も多いだろう。また郵送にはどうしても時間がかかるため、緊急時の対応には向かないこともある。そのため、機器を直接持ち込める場所に拠点を構えているかどうかも、業者選びの1つのポイントになる。

 また、厳格なセキュリティポリシーを運用している企業の中には、IT機器の社外持ち出しを禁止しているところも多い。そうした企業がデータ復元サービスを利用するには、技術者を自社オフィスに派遣してくれる「出張サービス」が便利だ。自社オフィスからのアクセスがよく、こうしたサービスを提供している業者を普段からリストアップしておけば、いざというときに迅速な対応が取れるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。