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悪徳業者にだまされないための「データ復旧ソリューション」選びのポイントは?IT導入完全ガイド(4/4 ページ)

» 2016年06月22日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]
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ファイル復元ソフトウェア製品の選定ポイント

 ファイルが見えなくなってしまった原因が誤操作やソフトウェア上の不具合によるもの、すなわち論理破損が原因であることが明らかで、かつ、ある程度IT関連の知識に自信がある場合は、データ復元ソフトウェア製品を使ってユーザーが自らデータ復元作業を行う方法もある。

 データ復元ソフトウェア製品を利用する最大のメリットは、何と言ってもそのコストの安さにある。業者にデータ復元を依頼する際の利用料金は、復元対象データのサイズや障害の度合いによって異なるが、場合によっては10万円、20万円という単位の料金が掛かることがある。一方で、データ復元ソフトウェア製品は数千円〜1万円ちょっとで手に入る。また業者とのやりとりが不要で、その場ですぐ対応できるのも大きなメリットだ。

 ただし、市場には実に多くの製品が存在しており、どれを選べばいいか迷うことも多いだろう。そこで、ニーズに沿った製品を選ぶための選定ポイントを以下にいくつか挙げてみたい。大事なデータが突然見えなくなるとどうしても冷静さを失ってしまいがちだが、データ復元サービスと同様、落ち着いて適切な製品を選べるよう、抑えておくべきポイントだ。

復元したいファイル種別に対応しているか?

 データ復元ソフトウェアがファイルを復元するために用いる要素技術や大まかな仕組みは、どの製品もそう大差ない。しかし復元が可能なファイルの種別には、製品ごとに若干の違いがある。

 データを復元する際には、HDD上に残されているデータの断片をソフトウェアが1つ1つ精査し、その内容から「これはどのような種別のファイルの一部だったのか」を類推しながらファイルを復元していく。

 例えば「このデータの性質から類推するにjpegファイルの一部だったのでは?」「このデータの並びはWordファイルの一部であることを示唆しているのでは?」といった具合だ。

図1 HDD構造のイメージ 図1 HDD構造のイメージ(出典:ジャングル)

 各製品の間では、復元できるファイルの種別数や、同じファイル種別でも復元確率に差が生じることなどがあるが、その理由はこうした“ファイル種別の類推ロジックの違い”によるところが大きい。従って、これから復元しようとしているファイル種別を、そもそもその製品がサポートしているか。そして、そうしたファイルの復元に実績のある製品なのかどうかを、まずは確認すべきだろう。

 例えば、データ復元ソフトウェア市場で長らく高いシェアを維持するジャングル(完全データ復元PRO)では、自社サイト上で復元可能なファイル種別の一覧を公開している(以下表1参考)。まずはこうした情報を調べてみることをお勧めする。

表1 復元可能なファイルの一覧例 表1 復元可能なファイルの一覧例(出典:ジャングル)

体験版で復元の可否を試せるか?

 製品によっては、無償の体験版を試用することでデータ復元の可否をあらかじめ判断できるものも存在する。例えば、前出の「完全データ復元PRO」は、無償の体験版を使って復元可能なファイルの一覧を表示させることができ、その場でオンライン購入手続きを取れば引き続きファイル復元処理を行えるようになっている。

 こうした仕組みを有効活用して、復元したいファイルの復元可否を製品購入前に判断できれば「製品を導入したはいいが、いざやってみたら復元できなかった」といった事態をある程度未然に防ぐことができる。

 特にデータ復元ソフトウェアを、ファイルを消失したマシンに直接導入する場合は、上書きによってデータ復元の可能性ががくんと落ちてしまう可能性があるため、なるべく無駄な製品の導入は避けたいところだ。

オープンソース製品は商用製品より慎重に選びたい

 近年では、オープンソースのデータ復元ソフトウェアもかなり知られるようになってきたが、その利用には慎重を期したい。実績のある商用製品と比べると全般的に復元率が若干低いことが多いようで、また中にはデータ復元ソフトウェアを偽ってマルウェアをダウンロードさせるものも存在するという。従ってオープンソース製品の利用に際しては、あらかじめ実績や評価を慎重に見極めた上で判断したい。

 中には「まずはオープンソース製品で復元を試みて、それでもダメだったら商用製品を買おう」と考える方もいるかもしれない。しかし先ほど述べたように、さまざまなツールを導入して環境をいじってしまうと、その分ディスクに上書きが掛かって復元確率が低くなってしまう。そのため大事な業務データの復元を試みる場合には、オープンソース製品の利用は慎重に慎重を重ねたい。

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