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企業で活躍するスマートフォン第3の選択肢、「Windows10 Mobile」を選ぶ情シス側の理由IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2016年08月22日 10時00分 公開
[宮田健キーマンズネット]

 それでは、より詳しく情報システム部にとってのWindows10 Mobileの強み、そしてあえて弱みとも捉えられる点をチェックしてみよう。

強み:マイクロソフト製品やWindows環境との相性の良さ

生産性の向上

 まずは生産性の向上だ。Windows10 Mobileのユーザーインタフェースは、Windows10のスタートメニューそのものと考えていいだろう。そのため、利用者は迷うことなくこのインタフェースを使いこなすことができる。

 さらに、UWP(Universal Windows Platform)アプリ版のOfficeもほぼそのままの使い勝手で利用が可能だ。画面サイズの問題があるため、基本的にはビュワーとしての利用が主だと想定されるが、これまで慣れ親しんだWord、Excel、PowerPointが使えるため、移動時間の間にほんの少し資料を手直しするなどの作業ができる。

 加えて、驚くのはその軽快さだ。CPUやメモリのスペック的にはAndroidに比べて劣るように見えるが、OSが軽くできているため、最安価なモデルであっても通常利用にはほとんど影響がない。

 普段PC上で利用しているアプリがそのまま利用でき、クラウドを通じOfficeファイルを閲覧、編集が可能。もちろんグループウェアとしてのメール、カレンダー、チャットも簡単に設定できる。特にマイクロソフトの「Office 365」を利用しているのであれば、モバイルもマイクロソフトのOSにそろえるという選択も十分検討に値する。

セキュリティは「Windows」級

 大きな強みは、マイクロソフトがWindows10でも力を入れているセキュリティへの対応だ。基本的にWindows10向けの機能はWindows10 Mobileでも反映がなされるように作られており、2016年8月にリリースされた最新のアップデート「Windows10 Anniversary Update」の機能の一部も、Windows10 Mobileへ反映されるという。またAndroidで顕著な「OSベンダーからのアップデートが、端末ベンダーからはリリースされない」といったOSの断絶を引き起こすことはなく、最新のOSアップデートがどのベンダーの端末へも適用されるということは大きな特長だ。

 さらに、機能面でも見逃せない。Windows10 Anniversary Updateでは情報漏えい対策として「Windows Information Protection」(WIP:旧称EDP)が搭載された。これは例えば機密として設定されたドキュメントファイルからテキストなどを「コピー」したとしても、貼り付け処理を行う際に注意喚起を表示させ、情報流出を防ぐという最新のWindowsの機能だ。今後この機能もWindows10 Mobileに搭載される計画がある。

 例えば資産管理やActive Directory/Azure ADでの管理など、これまでWindows PCで使えていた仕組みがそのまま利用可能な点も情報システム部にとっては重要だろう。Windows10へアップデートし、Windows10 Mobileを導入すると、セキュリティ面の対応がPC、モバイルを問わず一元化できるのだ。

弱み:発売から日が浅く、アプリ数や事例は少ない

アプリの種類が少ない

 Windows10 Mobileでよく言われるのは「アプリの少なさ」だ。Windows10のために作られたUWPアプリがほぼそのまま利用可能とはいえ、やはりAndroidやiOSに比べ、第3の選択肢であるWindows10 Mobile向けアプリを作っているベンダーは少ないことは確かだ。

 とはいえ、スマートフォンでビジネスマンが利用しているアプリは一通りそろっている。移動先の場所を確認するマップ、連絡を取り合うメールやSkypeがあれば、ビジネス用途としては問題がないだろう。日本特有の乗換案内的なアプリも、Windowsストアからダウンロードすることができる。そもそもビジネス用途では従業員に対し、必要なアプリを絞る作業を行うため、ゲームなどのアプリが少ないことはむしろ利点だと考える情報システム部も少なくないだろう。

企業導入のノウハウや事例が少ない

 現時点であえて大きな弱みとして挙げるならばこれまでにWindows10 Mobileを本格導入した「事例」が少ないという点だろう。ノウハウがないということは、常にトラブルとの戦いになる可能性がある。

 ただし、この点に関しては徐々に状況は変化しつつある。日本においては先の三井住友銀行の事例をはじめ、検討が進んでいるという話が多く登場している。その他にも外資系の企業において、グローバルでWindows10 Mobileを利用しており、日本での端末展開が始まったことで“グローバルに合わせるため”に導入を進めている企業もあるという。ノウハウも徐々にたまりつつあるというのが現状だ。

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