「明日、うちのサービスがTVで紹介される」――その時、Webサーバは……ANAインターコンチネンタルホテル東京の場合(1/2 ページ)
せっかく他部門がTVで自社サービスを紹介するチャンスを獲得したのに、放映直後にWebサーバがダウンして機会損失。そんなムダを起こさないために、Webサービス企業じゃなくても手を回しておきたいことがある。
テレビ番組で自社のサービスや製品が紹介されることは、本来なら大チャンスだ。しかし、視聴者がWebサイトに殺到し、サーバが負担に耐えきれずダウンしてしまうと多くの機会損失が生まれてしまう。さらにWebサイトが表示できないことにより、企業のイメージダウンをもたらす危険性すらある。
今回紹介するのは、Webサーバを見直したホテルの事例だ。アクセスが集中しても耐えられる環境を築いたことで、テレビ番組への露出というビッグチャンスを集客力アップにつなげた。
広報担当者の努力も、サーバダウンで水の泡に
「ANAインターコンチネンタルホテル東京」は、港区赤坂の六本木アークヒルズ内に立地するホテルだ。スイートを含む全844室のゲストルームの他、フレンチレストラン「ピエール・ガニェール」をはじめとする11のレストランやバー、宴会場なども持ち、多様なサービスを展開する。
従来、同ホテルでは社外のレンタルサーバを利用して自社Webサイトを公開していた。当時は、Webサーバとメールサーバが「同居」しており、さらに他社も同じサーバに相乗りするタイプを利用していたという。
Webサーバの課題が深刻化したのは2012年ごろのこと。テレビ番組でレストランやビュッフェなどが取り上げられる際、アクセスが殺到してサーバが落ちるケースが目立つようになった。広報担当者が努力してテレビ番組に取り上げられたのに、視聴者にWebを見てもらえないという状況が何度も重なり、強い危機感を感じたのだという。
そこでブランドマーケティング支配人の大島一浩氏と、サーバやIT機器などのハードウェア関係を担当するエリアITマネージャーの新井健二郎氏が中心となって、Webサーバの見直しを進めた。
スマホユーザーが増えた時期から、Webサイトへのアクセスが急増
「Webサーバのダウンは、2012年くらいから目につくようになりました。当時は、スマートフォン(スマホ)のユーザーが増えた時期。テレビ番組で当ホテルが取り上げられると、スマホユーザーを中心に、ほんの数分でたくさんのアクセスが集中するようになったのです。
せっかくサイトを見に来てくれたのに、サーバダウンで画面に何も表示されなければ、お客さまががっかりしてしまいます。当然、ホテルのイメージには傷がついてしまうでしょう。また、予約や来店をしてくれるはずだった潜在顧客も逃してしまうことになります。さらに、当時はメールサーバも同居していたため、業務メールのやりとりが止まってしまうことも問題でした」(ANAインターコンチネンタルホテル東京 ブランドマーケティング支配人 大島一浩氏)
「テレビ番組で取り上げられると、普段の10倍以上に及ぶアクセスが集中します。それに耐えきれず、サーバが何度かダウンしてしまったのです。一度サーバが落ちると、復旧に2時間くらいはかかっていました。時にはサーバが落ちていることが分からず、メールが届かなくなって異変に気付き、対処が遅れてしまったこともありました。あのときは、本当に冷や汗ものでしたね。アクセスが急増しても、Webサーバが落ちないこと――それが、われわれに与えられた最重要課題でした」(ANAインターコンチネンタルホテル東京 エリアITマネージャー 新井健二郎氏)
「多くのお客さまがインターネットを使って情報を集めるという時代背景を考えれば、サーバの強化は絶対にゆるがせにできない問題でした。そこで、粘り強く社内に働きかけたのです」(大島氏)
「サーバ切り替えには、それなりの予算が必要でした。しかし、Webサーバのダウンを防ぐことは、コストより重要だとわれわれは考えたのです」(新井氏)
「レスポンスの良さ」と「更新しやすさ」が決め手に
ITインフラを担当している新井氏は、日頃から付き合いのあったベンダーを通じて情報収集を開始。その上で、3社から見積もりを取って比較を行った。比較のポイントは、信頼性、価格、機能の3つ。この中で何より重視していたのが信頼性だ。だが、サーバを実際に使っていない段階で、信頼性をチェックするのはかなり難しい。そこで新井氏が重視したのが、ベンダーの営業担当者の「レスポンスの早さ」だったという。
サーバが障害を起こしても、ごく短時間で復旧できれば被害は最小限にとどめられる。また、サーバの設定を変えるとき、ベンダーのサポート担当者から素早く適切なアドバイスをもらうことができれば、仕事の手間は小さくて済むだろう。このように、対応の早さはサービスの質を大きく左右する。そして、営業担当者のレスポンスが早いベンダーほど、緊急時の対応も早いというのが新井氏の経験則だ。そして、相見積もりを取る際のやりとりが最もスピーディーだったことが、KDDI ウェブコミュニケーションズの「CPI専用サーバー」を採用した理由の1つだったそうだ。
また、以前は一つのサーバを他社と共同で使う共有サーバを使っていたが、今回は一社だけで利用する専用サーバを選んだ。これにより、他社が原因のトラブルでサーバに障害が出る危険性がなくなり、安定性はさらに向上。そしてメールサーバは、あえてKDDI ウェブコミュニケーションズ以外のサービスを選択した。別のサーバを使っていれば、トラブルが発生したときに問題がどこにあるかすぐに分かるからだ。
共有サーバから専用サーバに切り替えたが、コスト面では以前とほとんど変わりはなかった。そこで、サービスを選定した後は、上司からの決裁もすんなり下りたという。
「いくつかのベンダーさんとメールでやりとりをするとき、いちばん早く返事が来たところには『おっ!』と思います。顧客に素早く返事をする企業は、それだけ、顧客のことを親身になって考える姿勢があると私は考えているんです。
私達は、お客さまのことを第一に考えるホテルマンです。ですから、僕らユーザーのために一生懸命汗をかき、素早く動いてくれるベンダーさんには共感しますし、信頼も感じます」(新井氏)
「今回のサーバ切り替えに合わせ、Webサイト自体の作り方を変えました。それまでは、PC向けとモバイル向けのWebサイトを別々に用意していたのですが、これらを統合して運用できる仕組みに切り替えたのです。新しい情報を掲載する際に、1カ所だけ変更すればPC・モバイルの両方を更新できるので、作業の効率が大きくアップしました。
今後のホテルには、さらに積極的な情報発信が求められると思います。季節ごとのイベントやレストランの新メニューといった情報をきめ細かく伝え、お客さまに伝えていく必要があるのです。そのためには、『更新しやすいWebサイト』を設計することが大切になるのではないでしょうか」(大島氏)
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