こうして開発チームがプロジェクトを能動的に主導できる環境が整ってくると、開発チームには“プロジェクトは上から与えられるものではなく、自分たちで獲りにいくもの”という意識が芽生えてくる。より困難なプロジェクトにチャレンジし、成功に導くことができれば、開発チームとしての高い評価に直結するからだ。“I’m done”から“We’re done”への意識の変化が起こるのである。
この環境下では、あるプロジェクトが発生したとき、各開発チームはプロジェクトマネジャーに対して、“自分たちがやります”あるいは“自分たちならできます”と自ら名乗りを挙げるようになる。一方のマネジャーも、各チームの現状のスキルや過去の実績を踏まえた上で、任せるチームを選定することが可能となる。
こうしたプロジェクトの進め方と非常に相性がいいのが、今ソフトウェアの開発現場で取り入れられている「アジャイル開発」だ。1〜2週間といった短いスプリント(=作業サイクル)で開発と修正を繰り返し、“現場で使われるソフトウェアを作り上げる”ための開発手法である。主体的に動く開発チームが一体となってSCRUM(スクラム)を組み、現場部門と密にコミュニケーションを取りながら、現場がソフトウェアに求めるビジネス価値を定期的に再認識して開発を進めていくため、完成したソフトウェアがビジネス要件と懸け離れてしまうような事態は発生しにくい。
またスプリントの繰り返しやプロジェクト経験の積み重ねで各チームのスキルもより正確に見える化されていくので、プロジェクトマネジャーは“この案件ならあのチームに任せよう”という判断もより的確にできるようになっていく。
このようなソフトウェア開発プロジェクトを正確かつ効率的に管理していくことは、Excelではもはや不可能だ。そこで専用のプロジェクト管理ツールが求められることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。