かつてのUCは、IP-PBXにより構内電話網をIP化し、これをUCサーバとつなぐことで、ソフトウェアツールを介して電話をチャット、ビデオ会議といったさまざまなコミュニケーション手段と統合し、さらにはさまざまなソフトウェア機能と組み合わせて利用できるようにすることを目的としていた。
今日のUCソリューションも、インフラ部分の構成はこれとほぼ変わらないが、ユーザーが直接利用するアプリケーションの機能は大きな進化を遂げている。かつてのUCソリューションでは、グループウェアやメーラーといったソフトウェアツールを中心にさまざまなコミュニケーション手段が統合されていたが、現在ではそれがSNS的な要素を大幅に取り込んだコラボレーションツールにとって代わられつつある。
例えば、代表的なビジネス向けコラボレーション製品の1つであるシスコシステムズの「Cisco Spark」のユーザー画面は、チャットツールとしての性格を前面に打ち出しており、旧来のグループウェアやコラボレーションツールとは明らかに一線を画す。ユーザーやグループを選択すると、まずはそこでやりとりされたチャットの履歴が表示され、そこから新たなチャットメッセージをすぐ発信できるようになっている。かつてのチャットツールのような「1対1」のやりとりだけでなく、グループ内でのコミュニケーションをメンバー間でリアルタイムに共有できる他、過去のやりとりもさかのぼって参照できるようになっている。
また、コミュニケーション相手のプレゼンス(在席状態)を確認し、そのまま音声やビデオ会議などによるコミュニケーションをシームレスに始められるようになっている。モバイルやPCの他、会議室やサテライトオフィス、自宅などさまざまな場所でスムーズにビデオ会議が開始できるよう連係して利用できるハードウェア群も充実している。
このように現代のUCは、かつてのUCが指向していた「個人の生産性向上」「1対1のコミュニケーションの効率化」から、「グループやチーム内のコミュニケーション支援ツール」としての性格を強めている。
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