止められない業務データを格納しているファイルサーバ。増える一方のデータを、どこまで自前で運用し続けられるのか? ストレージ拡張以外のファイルサーバ置き換え案を考える。
地味ながら業務遂行に欠かせないシステムが、ファイルサーバだ。個々の社員や部門・チーム単位でビジネスコンテンツを保管・共有するのにうってつけのシステムではあるが、データ容量の増大などに伴い、その運用負荷は情シス部門にとって重荷となりつつある。そこでここでは、思い切って運用までを含めてファイルサーバを“外出し”することを念頭に置き、ファイルサーバとしての機能を備え、運用までを任せることのできる、代表的な企業向けクラウドストレージサービスを紹介したい。
多くの企業にとってオンプレミスでのファイルサーバの運用は見直すべき時期に来ているといえる理由は複数ある。ビジネスコンテンツの容量増加に伴う設備増強コスト、セキュリティ対策の高度化・複雑化、そして運用管理に掛かる人的負荷やコストの増大などだ。これらの課題は今後さらに深刻化するとみられる上、情シスの役割が、これまでの各種業務支援から、ビジネスそのものの拡大へとシフトしつつあるなか、ファイルサーバは企業が抱えるレガシーなシステムの中でも“お荷物”の筆頭格となりつつあるのだ。
このような背景から、ファイルサーバを運用管理まで含めて自社の外へと出してしまおうという動きがある。そこで導入されているのが、ファイルサーバ機能を備え、マネージドサービスも提供するサービスや、企業向けクラウドストレージサービスである。こうしたサービスは、クラウドであるだけに、海外を含めた多拠点での展開や、BCP(事業継続計画)、在宅勤務やモバイルワークのようなワークスタイル変革、といった新しいニーズとも親和性が高いのも特徴だ。
本稿で題材とするTOKAIコミュニケーションズの「OneOffice クラウドファイルサーバ」は、その名称からも分かる通り、ファイルサーバ機能に特化した企業向けクラウドサービスである。企業ネットワーク内のクライアントPCからVPN(Virtual Private Network)や専用線(BroadLine)などのネットワークを経由して、TOKAIコミュニケーションズのデータセンター(BroadCenter)に接続することで、同データセンター内の大容量ストレージを、自社ファイルサーバのように利用することができる(図1)。
このサービスを利用することで、データ容量増加に伴うディスクや機器の増設、OSのパッチ当て作業などといったファイルサーバ運用は、情シスから手離れすることになる。サイジングやハードウェア調達計画なども必要がなくなるので、情報システム部門の人的リソースを他の業務に割り振ることができるようになる利点がある。
ファイルサーバの運用に人員を潤沢に割り当てられないが、既存の構成で安定した運用を継続したいといった場合には、こうしたサービスを検討すると良いだろう。
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