2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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人材派遣業として豊富な実績を持つキューアンドエーワークスでは、早期からRPAに取り組み、人材とRPAを組み合わせたハイブリッド派遣「RoboRoid RPA Solution」を提供している。人ならではの能力が発揮できる部分とRPAの能力が発揮できる部分を仕分け、その能力を組み合わせることによって、結果的に業務の効率化とコスト削減を目指すというものだ。特に同社は「育てる人材派遣」で培ったノウハウをもとに、日本の企業風土に合わせた独自の日本版RPAを開発している。今回は、キューアンドエーワークスの代表取締役社長である池邉竜一氏にお話をうかがった。
RPAをまずは自社で導入して問題を洗い出し、十分な導入効果が見込めると判断したQAWでは、人とRPAの協働によるハイブリッド派遣「RoboRoid RPAソリューション」の提供を2016年1月より開始した。これは、導入提案から業務コンサル、導入支援、開発代行、運用保守に至るまで、人とロボットを絡めたワンストップサービスとして提供するものだ。もちろん、開発にはロボット開発とシステム開発が含まれ、運用には人的運用、ロボット運用、システム運用が含まれる。
「ロボ(RPA)の部分はRPAテクノロジーズ社の製品を使いますが、ロボット開発は派遣されたエンジニアが行います。RPAのプログラミングと現場のニーズをチューニングし、テレワークで作業が可能な場合には在宅のエンジニアが担当します。QAWではハンディキャップをお持ちの方も多く採用しています。例えば、家を出ることが非常に困難な方であっても、常日頃からインターネットに慣れ親しんいるため、ITリテラシーが高く、テレワークに慣れていることから、業務分担の設計思考で、品質の高いロボが作れるのです」と池邉氏。
人とRPAをセットで派遣することは、人の価値をもっと高めることにもつながると池邉氏は言う。「システム開発は、未来の業務の流れはどうするべきかを想定し、上位概念から要件定義を行い、業務に落とし込んでいくので、業務設計を一から考え直すことになります。つまり未来に向けての対応ですが、定義、設計、開発、導入に至るまでにかなりの時間がかかり即効性がありません。これに対して、RPAの良さは今の業務に対応できることです。現場の状況が変わり、前回のシステム開発で要件定義した想定を凌駕するような事象が業務に発生した時、そう今まさに困っていることにRPAは対応できるのです。これまでは人材派遣で人がマンパワーで対応していましたが、その作業は必ずしも人がやらなければならない作業なのか、というところに私自身、常々矛盾を感じていました」。
池邉氏は続ける。「人材派遣だから、どんな仕事でもするのかというと、そこは違うと思っています。雇用形態がどうであれ、やはり人は自ら問い答えを出す仕事に向かうべきで、RPAに置き換えられるような仕事はRPAに任して、人は人にしかできない業務を通じて、さらに上を目指して欲しいと考えています」と力を入れた。 その「人にしかできない仕事」が人のサポートであり、特にハイブリッド派遣では、RPAに求められる作業を漏れなく実行できるようにするため、作られたロボと現場で働く人とのフィッティングに力を入れる。「RPAは黎明期ですから、初期導入の時点では業務ヒアリング上において拾いきれない項目があったりします。すると、ロボットの導入に懐疑的な方は、鬼の首をとったかのごとく、ロボの無能論を繰りひろげます。聴き漏らしたのは人なのですが…RPAは設定したら、その通りにミス無く動き続けます。しかし、その前提が間違っていれば、間違ったとおりに動くのがロボットの常で…従って、懐疑的になり易い導入期には人とロボットをフィッティングする必要があり、そのサポートには人のコミュニケーション能力が求められます。RPAは機能分担された業務を貫徹する訳ですが、日本は和をもって働きますから、RPAといえども会社の一員となります。そこでフィッティングは、RPAが職場になじむための肝になる訳で、サポートもワンストップで提供できることがQAWの強みですね」。
これまで、PC上での書類作成やデータ収集、結果分析をはじめとした膨大な作業やルーティンワークは、人が行ってきた。それらの作業を人に代わって行うRPAが登場し、一気に普及しつつある。こうした変化の中で、お客様の意識は変わったのだろうか。
池邉氏は、「同一賃金同一労働」を実現できるという点に注目が集まっているという。「安倍内閣が掲げる『働き方改革』の中に『同一賃金同一労働』があります。例えば、普段、社員が行っているルーティンワークを繁忙期に派遣社員に依頼した場合、難易度の観点から、正社員は難易度の高い業務に集中するために応援として人材派遣を依頼した訳ですが、普段は正社員がやっているということから正社員と同じ賃金で派遣社員を雇うようになれば、その意味が薄れてきます。このようなルーティンワークをRPAに任せれば、作業効率が圧倒的に上がりますし、コスト削減も可能となります。RPAは、こうした単発の繁忙期対応にも有効的です。やはり、人は人ならではの質の高い仕事をすることで、同一賃金もバランスが取れるもの。そうした理由でルーティンワークの代替要員としてRPAが刺さっているように感じます」と指摘する。
同一労働を実現するために、ルーティンワークをRPAに置き換えるという発想は、どのような業種でも有効で、特に管理部門などの間接部門での導入効果が高いという。 管理部門においては全業種でRPA化の恩恵を受けられる。RPAは増員的役割を担う。
「実のところ、間接部門は、コスト削減の先鋒になりやすく、すでに削りきっていて、削れるところがもう無い状態です。人はすでに不足しています。ですから次の、新しい担い手を入れないといけないのですが、増員を言い出しにくいのは世の常かと…何かが売れそうなところにはどんどん投資されますが、間接部門の業務軽減は後回しになり易いですね。一方で、間接部門は少数精鋭で機能するため、業務自体、PDCAで業務効率化を図り、業務分担、ダブルチェック体制など進んでいます。その新しい担い手としてRPAは導入し易い。削りきったところほど、RPAが有効になるのです」と池邉氏は言う。
RPAの需要は高まっているものの、池邉氏はまだまだRPAへの理解が足りないという。お客様側は、「労働力を買う」コンシューマではなく「能力を利用する」ユーザになるという意識に変わらなければならない。とはいえ、RPAは前述のようにフィッティングが重要なので、いきなりRPAだけを利用しようとしてもうまくいかない。まずは人とRPAの両方を派遣するハイブリッド派遣を利用して、フィッティングしながらRPAとともに協働できる環境を作ることが最優先だという。これは、一種のカンフル剤として新たな労働力を職場に持ち込まなければいけない時代が到来したとも言える。 「買う」と「利用する」という話があったが、RPA導入を検討する職場において、そもそも求める人物像が外資系的志向の求める人物像と内資系的志向のそれではRPA導入の戦略が違ってくると池邉氏は説明する。
「外資系的志向の求める人物像は、人材をジグソーパズルのピースのよう『はまるかはまらないか』で考えます。個々の凹凸の違いはあっても、スキルやジョブディスクリプションなど大まかな職制は会社を超えて仕事の進め方が共通など、業務分担を前提に、ピース同士がぴったりと合う人物像を求めます。一方で内資系的志向の求める人物像は、お互いカバーして仕事を進めることが前提であり、お互いうまくやっていけるかどうかが分かれば形が違っていても社風に合えば良いと考えます。よって隙間が許容され、その隙間をお互いにカバーし合います」
「外資系的志向は隙間を作らないので、個々の人材の業務領域がはっきりします。他人の領域には絶対に入っていきません。でも内資系的志向は人と人の領域の隙間を互いに埋めようとするので、チームとして動き、隣の仕事がオーバーフローしていたら手伝うわけですね。しかし、内資系的発想においても、敢えて重なりあった部分を引き離してあげたら、その隙間をRPAが埋められるかもしれません。すると、すでに少数精鋭で業務する仕事に新たな人的余裕が生まれ、その人材を逼迫する業務に移動することが実現可能になります。このように、外資系的志向や内資系的志向を例えで話ましたが、今やこの志向は、企業単位だけでなく、部署単位、チーム単位、業務単位に混在していると考えています。このどちらの志向で人が業務を行っているのか?それをどのようにRPA化したいのかを汲み取ることがフィッティングする上で一番重要なポイントです。それぞれの志向に合ったRPAの導入戦略が必要になるのです」(池邉氏)。
ルーティンワークをRPAに置き換えることで、人は単純作業から解放され、さらに能力を発揮し、自身を磨ける業務を行える。また、労働人口が減少する現実に対し、問い学ぶことができる人を育て、RPAとの協働を提案する。人材派遣で培った豊富なノウハウと、サポート力を重視し人を育ててきたQAWは、RPAが社員の一員として働く世界を作る旗手となるかもしれない。
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