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キヤノンITSが「純国産・独自技術」から脱却、GURDIANWALL新ブランド(1/3 ページ)

やはり純国産を続けるのは厳しいのか? キヤノンITソリューションズがこれまで19年間独自開発を続けてきたセキュリティツールGURDIANWALLを、刷新することが判明した。

» 2017年03月13日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 キヤノンITソリューションズは2017年3月1日、同社の総合情報漏えい対策ソリューション「GUARDIANWALL」ブランドを一新することを発表した。

 新ブランドの第1弾として、メールからの情報漏えい防止対策を総合的に盛り込んだ「GURDIANWALL Mailファミリー」が3月27日から発売される。これは同社がこれまでこだわり続けた「純国産・独自技術」路線を転換し、外部パートナーとの協業を視野に、サービスも統合した総合ソリューション提供への道を切りひらく製品。そのコンセプトを同社基盤・セキュリティソリューション事業本部のキーマンが説明した。

写真 (左から)基盤・セキュリティソリューション企画センターセンター長 崎山秀文氏、基盤・セキュリティソリューション事業本部事業本部長 楢林知樹氏、基盤・セキュリティソリューション企画センター 技術開発部部長 神野成司氏

多様化するセキュリティ脅威への対応を困難にしている3つの課題

 「GURDIANWALL」は1999年に誕生したキヤノンITソリューションズの独自開発ソフトウェア。その後長年にわたりセキュリティ脅威の変化とプラットフォームサービス形態や技術の変化に応じて進化を遂げ、現在では国内3000社以上に導入、ユーザー数は460万人を数える。しかし近年のセキュリティ脅威の多様化、攻撃頻度の高まりを前に、個別の製品による対策には限界が見えてきた。

楢林知樹氏 楢林知樹氏

 「2016年の国内のサイバー攻撃関連通信は約1281億件、前年比で2倍、約1秒間に4000件に上る(国立研究開発法人情報通信研究機構/NICT調査)」と話すのは基盤・セキュリティソリューション事業本部の楢林知樹事業本部長だ。

 「当社が独占販売しているマルウェア対策製品『ESET』による国内マルウェア検出数で見ても、2015年下半期と2016年下半期の比較で3.8倍へと急増中。情報窃取型マルウェアに加えランサムウェアなども増え、対策は急務だ」(楢林氏)

 その一方、大多数の日本企業のセキュリティ対策には3つの課題があるとした。1つはセキュリティ人材やスキル、ノウハウの不足、もう1つはインフラに関するセキュリティ要件の高度化だ。ネットワーク設計とセキュリティ設計の両面でインフラへの要件が複雑になってきたのに加え、モバイルデバイスやIoTデバイスなどの対象デバイスの増加、ゼロデイ攻撃などへの対応スピードなどの課題もある。さらに深刻な課題は、対策を徹底すればするほど膨れ上がるセキュリティ投資だ。費用対効果の不明確さとともに、費用に見合う安全性が本当に担保されているのかどうかに疑問を抱く企業が多いという。

 楢林氏は「IPAによる実態調査で、CSIRTが期待したレベルを満たしていると回答した企業は欧米が45%以上なのに対し、日本では14%程度」と数字を挙げ、人材とスキルの不足がCSIRT設置企業においても深刻な状態にあると強調した。この現状に対し、同社が用意した解答は、従来の「独創」に加え「共創」による総合的なセキュリティソリューションだ。

 このために同社は2016年から組織改編に取り組み、基盤ビジネス部門の約160人とセキュリティビジネス部門の約100人を「基盤・ソリューション事業本部」に統合し、合計260人のチームを編成した。マルチベンダー製品で推進してきた基盤ビジネスと、自社開発ツールやESETのノウハウを持つセキュリティビジネスを融合し、顧客それぞれに最適なセキュリティソリューションを「全力を尽くして提供する」という。

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