メディア

NTT研究所の先端技術を集約し事業拡大を狙う「NTTテクノクロス」誕生(2/3 ページ)

» 2017年05月01日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

【2】統合を契機にした新たなシナジーの創出

 NTTアイティは確固とした販売チャネルをベースにした市場ニーズ把握力と高効率な販売力がある。NTTアドバンステクノロジーはソフト/ハード両面でのビジネス構築に長けている。NTTソフトウェアはセキュリティやクラウドなどの基盤構築をはじめ大規模SIで培ったプロジェクトマネジメント力がある。これら各社の強みを生かした事業を継承するとともに、シナジー効果による新しい価値創造を図る。

 またそれにとどまらず、ビジネス領域では従来の代理店販売に加えてイコールパートナーとなるアライアンス作りを推進し、OEMや業務提携を広く進めて戦略共有、共同でのソリューション提供を行う。

 技術面でのシナジー効果の例として、遠隔地の360度カメラの映像(4K高品質映像)を、手元のスマートフォンでストレスなく見渡せるVR技術と、映像の電子透かしからコンテンツを受け取る技術との組み合わせによる「新しい視聴体験」がデモを含めて紹介された。

映像メディア技術と電子透かし技術のシナジーによる新視聴体験デモ 映像メディア技術と電子透かし技術のシナジーによる新視聴体験デモ

 デモでは、遠隔地にある部屋の様子を360度カメラで撮ったリアルタイムの4K映像の特定部分をスマートフォンで切り取って見る様子が実演された。上図の大型ディスプレイに映っているのが遠隔地のリアルタイム映像で、それをスマートフォンのカメラで捉えると、360度映像がスマートフォンで見えるようになる。

 スマートフォンを移動、回転させると、あたかも遠隔地の部屋の中で操作しているかのように映像の視点がスムーズに変わっていく。高品質の映像データは重くなるはずだが、ここではスマートフォンで表示している領域だけの解像度を保ち、他は解像度を落とすことで、軽い動きと美しい画質を両立している。

 また大型ディスプレイの映像には目に見えないように電子透かしが埋め込まれており、それを撮影したスマートフォンに情報を伝えることができる。スマートフォンをかざすだけでVR視聴に変わるのはこの機能があるせいだ。これデモには、「パノラマ超エンジン」と「Magic Finder」という2製品が組み合わされている。

 クラウド上の電話帳サービスを「Office 365」や「sansan」「Salesforce」「intra-mart」「kintone」などの他社製品と連係する状態で提供する「ProgOffice Enterprise」は、ドコモの「オフィスリンク」サービスとの組み合わせで付加価値を高め、B2B2X(他企業の顧客向け事業)市場に向けドコモの営業力を活用した販売が始まっている。

【3】新ソリューションの創出

 ソリューションを4つのフェーズに分類し、その内容を管理する。まず研究所技術、ニーズ、シナジーから新規のソリューションを積み上げる「新規・仕込み期」があり、それを約1億円程度の売り上げが見込める「立ち上げ期」に昇格させる。

 さらに数億円の売り上げとなる「拡大期」に持っていった後、安定した収入が得られる「成熟期」にステップアップさせていく。同社のソリューションをこのフェーズになぞらえて配置したのが下図となる。フェーズごとのソリューションの成長過程を管理することで、より良い新ソリューションに育てていく。

4つのフェーズに分類・管理するソリューションパイプライン 4つのフェーズに分類・管理するソリューションパイプライン

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。