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NTT研究所の先端技術を集約し事業拡大を狙う「NTTテクノクロス」誕生(3/3 ページ)

» 2017年05月01日 10時00分 公開
[キーマンズネット]
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シナジーソリューションの展開戦略

 シナジーソリューションの具体例として、特に注力される次の3領域について取締役経営企画部長の端山聡氏が説明した。

【1】AIを活用したカスタマーエクスペリエンスの向上例

 上述のコールセンターソリューションがこれにあたる。NTT研究所のAI技術への取り組み「corevo」と組み合わせ、さらなる顧客満足度向上に資することを目指す。

【2】働き方改善促進による社会問題の解決例

 NTTソフトウェアが開発した「Wi-Fiインカムシステム」は、特定小電力無線では不可能だったフロアをまたいだ音声通話をWi-Fi利用でクリアに行うトランシーバー(インカム)システムだ。これに音声認識システム「SpeechRec」を組み込むと、会話内容をほぼ完全にテキスト化でき、報告書やメモの作業が省力化できる。さらに情報共有システム「TopicRoom」と連係すれば、現場で起きていることを関係者がリアルタイムに情報共有できる。ロケーションが離れていても関係者の音声会話情報が簡単に共有できるというわけだ。

Wi-Fiインカム(左)と、通話音声を自動認識、テキスト化して表示したスマートフォン画面(右) Wi-Fiインカム(左)と、通話音声を自動認識、テキスト化して表示したスマートフォン画面(右)

【3】2020・地方創生に向けた「おもてなし」改善例

 「おもてなし」は、主に海外などからの訪問客を念頭に置いたコミュニケーションサポートの仕組みのことを指している。これについてはAI技術関連のソリューション例と、メディア処理関連のソリューション例が紹介された。

 「corevo」の共通基盤は、種々のおもてなしソリューションに活用できる。NTTテクノクロスはこれに音声認識、音声合成、インテリジェントマイクライブラリを提供しており、実証実験用アプリケーションの開発、構築・運用支援を行っていく。

 またクラウドロボティックス基盤を活用し、窓口のコミュニケーションロボット「Sota」とディスプレイでショッピングモールなどの総合案内に利用するソリューションが紹介された。サービス提供者側がPowerPointでディスプレイ表示用のページを作成し、ノートとしてテキストを入力してコンテンツを作るだけで、案内窓口ではロボットがそのテキストを喋り、ディスプレイが表示用コンテンツを表示する。人感センサーやタブレットの利用も考慮され、各国語対応も図られている。

corevo共通基盤を活用したコミュニケーションサポートの一例 corevo共通基盤を活用したコミュニケーションサポートの一例

 メディア処理技術関連ソリューションとして紹介されたのは、上述した「パノラマ超エンジン」と「Magic Finder」の組み合わせだ。これはスポーツ会場やコンサート映像などの臨場感ある視聴を念頭にした技術である。

今後の展開:中期経営計画

 NTTグループはキャリアビジネスからB2B2Xモデルによる新市場開拓を進めており、NTTテクノクロスはその戦略をベースに先端技術を生かした高付加価値サービスを提供することで市場競争力を高めていく。

 合併・統合後の2017年度計画では売上高425億円(うちNTT外市場売上は約40%の185億円)、営業利益12億円を見込む。これを3年後の2020年には、売上高500億円(うちNTT外市場売上は約50%の250億円)、営業利益22億円に成長させる。合併・統合によるシナジー効果は約20億円に上ると見込んでいる。

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