AirWatch導入の背景として安藤氏は、従業員のモバイルデバイス使用に伴い、セキュリティリスクが増大したこと、デバイス管理の工数が増加したこと、そして相反してユーザーの利便性が落ちたことを挙げた。
日本キャタピラーは建設機械の新車や中古車の販売とレンタルに加え、プロダクトサポートを主力事業とする企業である。セールス、メカニック、内勤の3つの職種の従業員が就業する同社では、2014年からセールス担当者向けにiPadを700台、全就業者に対してiPhoneを3000台貸与し、新しい営業スタイルや業務効率化を推進した。
図2が、同社におけるモバイルデバイスの活用シーンだ。全従業員に共通して、会社メールの使用や、勤怠入力、各種アプリの使用といった使い方がなされている。職種別ではセールス担当者が顧客を訪問した際、その場でCRMに情報を入力すること、顧客に対してタブレットを介してプレゼン・製品教育などを行うことにモバイルデバイスを活用しているという。メカニックすなわち技術者は、メンテナンス情報の入力といったシーンで使用している。
AirWatch導入の前は、MDMツールでの管理を行っていたというが、具体的にどのような課題があったのか。図3は、同社が抱えていた課題を一覧で示している。セキュリティリスクの点では、不適切なアプリの利用やサイト閲覧によるウイルス感染の脅威に加え、MDMから従業員が勝手にデバイスを除外することで紛失時の対応がとれないなどの課題があったと安藤氏は話す。
また、デバイスの管理工数に関しては、間違えたパスコードを複数回入力することによってデバイスが初期化される設定をしていたため、その度に再キッティングの工数がかかっていたこと、初期化時にユーザーへのフォローの手間があること、また管理者がデバイスの情報を取得する際に表示の遅延が起こるなどの問題があった。加えてデバイスが初期化されると、復旧までユーザーがデバイスを使えずに不自由な状態に陥るため、利便性の低下を招いていた。
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