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内製化拡大で2桁成長 それでも「ノーコードツール」の先行きが暗い理由

国内のローコード/ノーコード開発ツール市場が1000億円規模に迫る急拡大を続けている。しかしITRは、「将来的にこの市場の一部の需要は将来的に失われる」と指摘する。なぜ内製化が広まる中で、将来一部の需要が失われるのか。

» 2026年03月17日 07時00分 公開
[後藤大地キーマンズネット]

 近年、非エンジニアによる従業員によるアプリ開発が広まりつつある。

 ITコンサルティングと調査を手掛けるアイ・ティ・アール(以下、ITR)によると、こうした流れを受けて、ローコード/ノーコード開発ツールは2024年度に市場全体で1000億円規模に迫る勢いだ。市場をけん引するのは、市場シェアの5割以上を握る上位3社だという。ITRは今後も2029年まで2桁成長が続くと予測しており、上位企業への集中がさらに進む見込みだ。

ノーコードツールが将来「先細り」する理由は?

 一方でITRによると、ローコード/ノーコード開発ツール市場には課題もある。将来的に一部の需要が先細りするというのだ。

 ITRによると、2024年度の国内ローコード/ノーコード開発市場規模は994億円となり、2023年度から15.1%増成長した。ローコード/ノーコード開発ツールは、プログラミングの専門知識が少なくても業務アプリケーションを作れることが特徴で開発の迅速化や効率化、コスト削減を目的に普及した。

 ローコード/ノーコード開発ツールの製品は多様だが、ITRによると特定の製品に需要が集中しつつある。パッケージ製品は基幹システム周辺を中心に一定の需要があるものの、基幹システムのクラウド移行や一部製品の終売予定を背景に、今後の成長には疑問符が付く。一方でクラウドサービスは製品ラインアップが多様で適用範囲も広く、今後も市場の主軸として幅広い企業で採用されるとITRは予測する。これらを踏まえ、同社はローコード/ノーコード開発ツール市場の2024〜2029年度における複合年間成長率(CAGR)を12.9%と見込む。

AIとの競合という新たな課題

 近年、多くの製品・サービスでAIとの連携が訴求点となっている。しかし、AI技術の高度化と活用範囲の拡大によって、比較的軽微な開発に使われるノーコード製品は将来的に需要が縮小する可能性があるとITRは指摘する。ベンダー各社には既存製品の競合対策だけでなく、AI系開発ツールとの競争を見据えた差別化戦略が求められる。

 ITRの甲元宏明氏(プリンシパル・アナリスト)は、「市民開発に取り組んでいる企業の多くがAIツールの活用を進めており、その適用範囲は開発プロセスの各工程に広がっている。ローコード/ノーコード開発ツールは今後も重要な役割を果たすと考えられるが、イノベーティブなAI系開発ツールやサービスが次々と登場していることから、これらとの差別化や融合を図らなければ、既存のローコード/ノーコード・ベンダーにとってより厳しい競争環境となる可能性が高い」と指摘する。

 今回紹介した内容は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:ローコード/ノーコード開発市場2026』に掲載されている。同レポートは国内22ベンダーを対象とした調査に基づき、2023〜2024年度の実績と2029年度までの予測を示している。

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