AI関連のおすすめの資格として「生成AIパスポート」はG検定に並んでよく挙げられる。今回は、同試験に合格した当社人事のHRさんに、受験した当事者の視点、人事の視点から、試験の意義や勉強方法を聞いた。
勉強のためにAI関連資格について検索していると、おすすめの資格としてよく出てくるのは「G検定」と「生成AIパスポート」です。特に生成AIパスポートは2017年に始まったG検定に比べてもかなり若い試験で、どんなものなのか知らない人も多いでしょう。
今回は、同試験に合格した当社人事のHRさんに、受験した当事者の視点、人事の視点から、試験の意義や勉強方法を聞きました。以降、HRさんの発言が登場しますが、これらは当社アイティメディアの人事としての見解ではなく、HRさん個人もしくは人事としての立場からの発言です。
生成AIパスポートは生成AI活用普及協会(GUGA)が実施する資格試験です。IBT方式で、インターネット環境とデバイスがあれば自宅でも受験できます。1時間で60問の4択問題を解きます。例年2、4、6、8、10月に実施され、受験費用は1万1000円です。
コンセプトとしては、生成AIの基礎知識や安全な使い方など生成AIを使う人向けの基本的な知識を確認してAIリテラシーを可視化することとしています。
生成AIに対する立場は、「開発者」「提供者」「使用者」に分けられます。おおざっぱに言えばG検定は提供者、生成AIパスポートは使用者のようにイメージするといいかもしれません。
HRさんは使用者として、仕事をする中でデータ分析の補助や企画アイデアの壁打ち、社内向けメッセージの推敲、「Google スプレッドシート」用のプログラム作成などに生成AIを使っているようです。
生成AIパスポートを受験した理由としてHRさんは「リテラシーを勉強できそうでした。業務で生成AIを活用するに当たり、何が許されて何が問題かを知り、生成AIの仕組みを勉強しておこうと思いました」としています。
生成AIパスポートの試験範囲は「人工知能」「生成AI」「生成AIの動向」「情報リテラシー」「プロンプト」の5分野に分かれます。
人工知能分野には機械学習の手法やAIの歴史など基礎的な内容が含まれます。ニューラルネットワークとはどんなものか、第○次AIブームではどんなことが起こったのかといった話題を扱うため、「ChatGPT」から始まる生成AIブーム期から積極的にAIを使うようになった使用者からすると、概念的で難しい範囲になるかもしれません。
生成AI分野には、生成AIの種類や具体的な生成AIチャットサービスとしてのChatGPTの他、「Gemini」「Claude」「Copilot」などの内容が含まれます。前半では「CNN」や「LSTM」「Transformer」といった専門用語が登場します。これらは生成AIを使うだけなら聞かない言葉のため、まだ難しいでしょう。後半では「データセット」や「ハルシネーション」といった、ちょっと生成AIに詳しい人なら聞いたことがある言葉が出てきます。
生成AIの動向分野では、生成AIの活用法とディープフェイクについて問われます。生成AIで何ができるか、ディープフェイクでどんな事件があったかを学べます。2026年2月以降はここに「RAG」「AIエージェント」「MCP」などが追加されました。HRさんは2025年10月に受験したため、これらについては勉強していません。しかし今なら生成AIをビジネスで使う場合、この知識がなければ「生成AIに詳しい」と胸を張って言うのは難しいです。
HRさんが生成AIパスポートにおいて評価しているポイントとして資格更新試験があることを挙げています。上記の内容追加に伴い、有資格者向けの資格更新テストが2026年2月から実施されており、2時間の動画視聴とチェックテスト10問で認定されます。受講費用は6600円です。
情報リテラシー分野では「インターネットリテラシー」「セキュリティとプライバシー」「個人情報保護」「制作物にかかわる権利」「AIを取り巻く理念と原則」「AI新法」について出題されます。生成AI以前のリテラシーはもちろん「生成AI活用における個人情報の取り扱い」「AI生成物が既存の権利を侵害する可能性」など、生成AIを活用するからこそ必要となる内容も問われます。
プロンプト分野では、生成AIチャットサービスを上手に使うためのテクニックやアイデアが紹介されます。思い通りにテキストを要約する方法や生成AIとブレインストーミングをする方法、生成AIが苦手なことなどを学べます。
HRさんはGUGAが販売している公式テキスト「生成AIパスポート テキスト&問題集」と無料の公式クイズアプリ「生成AIパスポート AIクイズアプリ」を使いました。もともと知っていた知識は半分程度で、残り半分は1カ月かけて改めて勉強することになったそうです。
公式クイズアプリは公式テキストを学習したAIが生成した問題を続々と出題するもので、ハルシネーションが気になりますが、HRさんによると「間違った問題はなさそうだった」とのことです。HRさんは通勤中の隙間時間を使ってクイズアプリをやっていたようです。「概念的な部分などでどうしても分からない内容があったときには、Web検索を繰り返して勉強しました」(HRさん)
生成AIパスポートに合格して何が変わったかを尋ねたところ「生成AIを使う中で迷ったときに原理原則に立ち返れます。これまでなんとなく使っていましたが、よりよく使うための方針が立てられるようになりました」とのことでした。
HRさんによると、人事的な観点で生成AIパスポートは「人事選考ではそこまで」の資格だと言います。実際、医師免許や弁護士資格のように、特定の業務を実施するに当たって必須だと定められたものではないので、履歴書などに書いてあるからといって特に評価が急上昇するものではありません。
どちらかというと合格するよりも勉強したことが重要な資格で、研修の一環で受験したり、個人のリテラシー向上のために勉強したりといった用途で目標として使える資格としての性格が強いでしょう。「個人にとって、学び続けることや実際に試してみることは大切ですよね」とHRさんもコメントしています。
次回の生成AIパスポートの受験期間は2026年4月1日〜30日まで、申し込み締め切りは同年3月31日です。生成AIユーザーとしてのリテラシーや上手な使い方を勉強したい方は、目標として設定してみてはいかがでしょうか。
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