一般的に全ての音声をIPネットワークに集約するクラウドPBXの場合、万一の災害時に電源断が起こると電話が使えなくなるものだが、メタルケーブルのアナログ回線が残っていればコミュニケーション環境が維持できるようになる。そのため、従来型のPBXを“災害対策用PBX”として残しておき、クラウド上のPBXと連携させるといった運用を希望する官公庁や企業もある。
また、営業部門など社外に出て活動する機会の多い部署のみクラウドPBX機能に移行し、スマートフォン内線化などによって柔軟な働き方を実現しつつ、全社的には従来型のPBXで運用するといった選択をする企業もある。画一的な働き方ではないからこそ、災害対策の意味合いも含めてハイブリッド型を選択するということも考えておくべきだ。
なお、クラウドPBXを提供しているベンダーの中には、オンプレミス型のPBXも自社製品として提供しているところもあり、ハイブリッド環境であっても単一ベンダーのソリューションで運用できるケースがある。全社的に一気にクラウド化へ向かうのではなく、償却期間を迎えたものから順次クラウドに移行してくということが単一ベンダーの方が行いやすい。
企業の中には、一部の施設や工場内で構内PHSをコミュニケーションインフラとして構築しているケースがあるが、クラウドPBXを利用する際にはその扱いはどうしていくケースが多いのか。基本的にはスマートフォンによる内線化への置き換えを提案することが多いようだが、これがなかなか難しいという。
安定して利用している構内PHSは、実は既に償却も終えており、一切コストをかけずに利用し続けることが可能な状態にあるケースは、実は少なくない。そのため、新たな環境に移行するという流れになりにくい。PHS部分は案外入れ替えしにくいようだ。
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