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3D地図でゴルフコースは俺のもの? IoT分野でも活用(2/2 ページ)

» 2017年09月12日 10時00分 公開
[溝田萌里キーマンズネット]
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AW3Dとは?

 AW3Dとは、NTTデータが開発した3D地図。2014年からサービスを開始しており、現在では70カ国、300以上のプロジェクトで活用が進んでいる。筒井氏は、従来の3D地図と比較して、コスト、提供までの時間、精度の面で優位を説明した。

 具体的には、衛星画像の使用により、従来の航空写真を用いた手法と比べてコストを4分の1から10分の1にまで削減していること、かつ本来は提供に数カ月かかる3D地図を、最短1週間で作成できることを強調する。精度の面では、解像度が0.5メートルにまで上がったことを強調し、今回高精細な3D都市データの提供を開始した背景に、技術の向上を挙げた。

 「解像度が0.5メートルといえば、車の車種なども見分けられる」(筒井氏)

点で高さを決め、線で建物の多角形を描き、写真を貼り付けて完成

 今回、AW3Dのサービスとして追加された高精度3D都市データは、NTTデータの3D地図作成技術、AIを活用した画像解析技術と、米DegitalGlobeの衛星画像、地図空間情報クラウド「Geospatial Big Date Platform」を重ねることで実現している。

 制作の行程は複雑だが、肝となるのは2種類の3D地図データ、すなわち3D地形データと3Dポリゴンデータだ。前者は土地の高低差、起伏といった地形を点で表現するラスター形式の地形データで、解像度は0.5メートルから1メートル。一方後者は、建物や樹木などを多角形の面、すなわち3Dポリゴンで表したデータである。

図4 3D地形データ(ラスター形式) 図4 3D地形データ(ラスター形式)
図5 3Dポリゴンデータ(ベクター形式) 図5 3Dポリゴンデータ(ベクター形式)

 特に後者の3Dポリゴンデータにおいては、AIの活用がポイントだと筒井氏は話す。「従来では構造物の輪郭を人力でなぞって描いていた。そうではなく、衛星画像をAIで解析することで、建物などの形状を自動抽出できるようになり、大幅に時間が削減された」(筒井氏)

AIを使って構造物の形状を自動抽出 AIを使って構造物の形状を自動抽出

 高精度3D地図データは、この2つの地図データを組み合わせ、建物の壁面などに実際の画像を付与することで、完成するという。

IoT、スマートシティー……広がる活用シーン

 活用シーンについて、同社は防災、資源、スマートシティー計画、電力、IoTの分野などを想定しているという。例えばIoTの分野では、電波が建物によって遮られないかといった電波伝搬シミレーションに用いることが可能だという。

 現在、高精度3D地図データが提供可能な範囲は、日本、米国、カナダの都市部における約100万平方キロのエリア。価格は、1平方キロ当たり1万円からで、25平方キロ以上から販売する。

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