欲しい文書を迅速に見つけることができないという悩みは、現在の多くの企業が抱えている課題だ。その際にAIを使った文書管理ツールを採用することで、目的の文書にたどり着くまでの時間を大幅に短縮することができる。これだけでもエンドユーザーの生産性は大きく向上するが、しかしこれはいわば守りのIT活用とでもいうべきもので、AIを使った文書管理ツールは攻めのIT活用を実現するためも利用できる。
今の企業には往々にして、自社製品やサービスに対する社外からの問い合わせやクレーム情報を随時ためていってはいるものの、実際にどんな問い合わせやクレームが、どれだけの件数あるのかを把握し切れていないという実情があるようだ。
例えば社内の技術情報や特許情報は探すのに少々時間がかかったとしても、それだけで自社の存続が危うくなるわけではない。しかし問い合わせやクレームの情報を放置し続ければ、やがて自社の信用は落ち、株価も下落し、企業価値が大きく損なわれることにもなり兼ねない。
そこでこうした情報の管理にAIベースの文書管理ツールを利用することで、対応業務の効率化を図り、それによってよりきめ細かい顧客対応を実現するとともに、よりスピーディーに製品やサービスの改善につなげていくことが可能となる。
1つの例として、販売拠点の営業担当者などから1日数十件の問い合わせが寄せられるB2Bの製造業を考えてみよう。
ここにAIを使った文書管理ツールを利用することで、まずAIが、蓄積された問い合わせ内容と対応履歴を分析し、問い合わせ窓口の担当者に対して、新たに入ってきた問い合わせに対する回答を、botを介して自動で返してくれる。窓口担当者は、その内容を精査するだけで済むようになり、問題がなければそのまま相手に提示するだけで問い合わせ対応業務は完了する。
また自分自身で情報検索をする手間もいらなくなるので、より重要な問い合わせへの対応に注力できるようにもなる。結果、問い合わせ対応の品質を全体的に底上げすることが可能となり、さらには既存製品やサービスの改善、新たな顧客ニーズの発掘へとつなげていくこともできるかもしれない。まさに“攻め”のIT活用といえるものだ。
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