商品に興味を持つ全ての顧客がPaykeのアプリをインストールするわけではない。そうした顧客に対してアプローチできるよう、同社は小売店向けに「Payke Pad」という専用のタブレットを貸し出すサービスを行う。
Payke Padは、アプリのPaykeと同じ機能を持った7型タブレットだ。顧客がタブレットのカメラにバーコードをかざせば、商品の説明文を翻訳して表示する。小売店の棚に設置する用途で開発され、現在では、サンドラッグやコクミンといったドラッグストアの他、ロフトなどのバラエティ雑貨店、イオンモールなど全国に展開する小売店で導入されている。
小売店はタブレットを導入することでどのようなメリットを得られるのだろうか。同氏はまず、人件費の削減を挙げた。
「通常であれば、海外からの訪日旅行者に対応するため、外国語で接客できる留学生を雇用するケースも多いが、それでは人件費がかかる。一方、Payke Padを接客に活用すれば、外国語の分かるスタッフを雇い入れる必要もなく人件費が削減できる。加えて、商品を案内する際には、タブレットを見ながら接客すればよいので、商品を覚えたり、新人スタッフに商品情報を教えたりする手間も省ける」と山田氏は話す。
また、Pake Padを導入した小売店では、商品の売り上げが向上するというデータも出ているという。図4は、NTTデータの協力のもと、某小売店においてPayke Padを導入する前と後の売り上げを比較したデータだ。商品をスキャンした顧客の客単価はスキャンしない場合に比べて36%向上しており、決済ごとに購入される商品の数も34%アップしたと山田氏は説明する。
Payke Padが小売店のインフラとなるよう、1台につき3980円/月という低価格で提供していると話す山田氏。今後に向けて、このインフラを活用したさまざまなサービスを構想しているという。
「例えば、ビーコンの技術を使って、店舗に設置したタブレットと顧客のスマホにインストールされたアプリを連動させ、顧客が店舗に近づいた際には『近くに、こんな店があるよ』という情報を通知する施策を考えている」(山田氏)
他にも、思い描くビジネスは幾つも存在する。例えば、Payke Padの画面上にメーカーの広告を表示させ、広告料の一部を小売店に還元するといった施策や、Payke Pad上に蓄積されていく「スキャン状況」のデータを分析し、小売店が活用できるようなサービスもその一例だ。
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