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GDPR対策、知らないデータも管理できれば怖くない

日本企業が持つデータのうち、55%は「何だかよく分からない」まま運用しているデータだという。この状況で個人情報保護法やGDPR対策に取り組むときに、運用と管理の両方を効率化する1つの提案が出された。

» 2017年12月06日 10時00分 公開
[原田美穂キーマンズネット]

 ベリタステクノロジーズはペタバイト級の非構造化データを扱えるSDSソフトウェア「Veritas Cloud Storage」を12月4日から提供を開始する。まずはソフトウェアのみの提供だが、今後はアプライアンス型やSaaS型、サブスクリプションライセンスでの提供も計画している。

 オブジェクトストレージとしての性能もポイントだが、最大の特徴は、同社アーカイブ製品などで実績のある独自のデータ分類エンジン「Integrated Classification Engine」を搭載している点だ。

なぜ自動分類機能が必要なのか

 前述のようにVeritas Cloud Storageは、独自のデータ分類技術Integrated Classification Engineを搭載した分散オブジェクトストレージ。専用のハードウェアを必要とせず、一般的なハードウェアやクラウドサービスを利用して展開できる。

 一般的に、分散オブジェクトストレージは低コストでスケールアウトとデータ保護を実現でき、Web APIを使った操作も可能であることから、Webスケール型のアプリケーションと組み合わる場合に採用されることが多い。分散型ストレージの特性として、実装方法によっては一定の規模を超えるとパフォーマンスが頭打ちになるケースもあるが、同社製品の場合は128ノード、データ量で数ペタバイトまで性能を保証しているため、企業向けオブジェクトストレージとしては十分といえる。ストレージとしてはこれで十分なのだが、同車の場合はこれに、データ管理の機能が加わる。

 同製品に搭載される分類エンジンIntegrated Classification Engineは、同社が「360度データ管理」と呼ぶデータ保護と管理の核となる技術で、すでに同社アーカイブ製品などに搭載されているもの。具体的な機能としては、個々のデータにメタデータを付与し、そのインデックスや地理情報などを管理したり、インデックス情報を基にワークロード自動化を設計したりできる。管理機能としては、世界規模で各地のデータの多様なステータスをGUIで視覚的に管理する仕組みも持つ。

 ベリタステクノロジースが独自に調査したところによると、現在日本企業が保有し処理しているデータの55%は「価値が分からないデータ」だということが明らかになっている。Integrated Classification Engineは、こうした管理できていないデータを含む、ストレージに格納されている全てのデータを対象に、自動で分類したり、ポリシーを適用したりして、データを管理するための仕組みだ。

判断が付かないデータが55%も存在する 判断が付かないデータが55%も存在する。同社では管理されていないデータが多い企業保有データの現状を、氷山(バーグ)になぞらえて「データバーグ」と呼んでいる

データがどこにあっても変わらず管理する

高井隆太氏 高井隆太氏

 常務執行役員 テクノロジーセールス&サービス本部 高井隆太氏は「データの管理用件は変わらないものの、管理すべきデータの場所、データの性質は変わってきた」と、現状を分析。場所や性質というのは、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドが当たり前になりつつあること、構造化データ以外のデータが増えていることを指している。

 こうした変化に対応すべく「ベリタスでは360度データ管理というコンセプトの基で製品を提供している。これにより、データ管理に関する課題を全方位に解決するソリューションを提供する考えだ」と製品ポートフォリオの強みを説明する。

 メタデータ付与では、ファイル形式やタイムスタンプなどの一般的な情報に加え、データ内の個人情報や機密情報の有無といった情報も付与する。さらに、情報開示の可否や物理的な移動の可否、利用頻度などの運用時のガバナンスに活用できる情報も付与する。

 運用時にはこれらのメタデータをフックにワークロードを設計する仕組みだ。APIを使ってユーザー側で独自に機械学習を基にした分類を設定することもできるという。

 「重要なデータの定義は顧客によって異なる。そして、全てのデータの中から重要なデータがどこにあるかをすぐに確認できない。これを可視化するのがベリタスのSDSだ。GDPRなどのリスク対応にも有効だ」(テクノロジーセールス&サービス部門 インフォメーション・アベイラビリティアーキテクト 星野隆義氏)

メタデータ付与と分類の流れ メタデータ付与と分類の流れ。データ移動の可否といった詳細情報も付与できるため、コンプライアンス対策としても利用できる

いま把握していない隠れたデータにもGDPR対応のポリシーを適用できる

Veritas Technoogies David Noy氏 Veritas Technoogies David Noy氏

 さらに、このメタデータはデータセンターなどの拠点をまたいでも一貫性を維持するため、世界規模でデータを一元管理でき、メタデータ情報を基に管理ポリシーを適用できる。例えば、EUが2018年5月から施行するとされるEUデータ保護一般指令(GDPR)では、個人情報を含むデータを持ち出せる地域などに厳格な制約が設けられる見通しだが、こうしたルールに即したデータ管理も設計しやすくなる。

 「メタデータがあるので、どのような場所にデータを置こうとも管理でき、データセンターをまたいでも一貫性を担保できる点が特徴。さらに、主要パブリックラウドでの対応も進めているところだ」(Veritas Technoogies SDS製品群およびアプライアンスポートフォリオ担当VP David Noy氏)

 同社では今回発表したVeritas Cloud Storageに加え、要件ごとに3つのSDS製品ラインアップ(「Veritas Access」「Veritas HyperScale for OpenStack」「Veritas HyperScale for Containers」)を展開している。現在、Integrated Classification Engineを搭載しているのは、Veritas Cloud Storageのみだが、今後は、全てのSDS製品にも搭載していく計画だ。

4つのSDS製品ラインアップ 4つのSDS製品ラインアップ

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