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LPWAを徹底活用してIoTビジネスを始めるには?IT導入完全ガイド(4/5 ページ)

» 2017年12月18日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 IoTを自社に活用する場合、多数の製品ベンダーやサービスベンダーが入り込むことになる。そうしたベンダーを巻き込んでいかに効率的で経済的なエコシステムが作れるかが、ユーザーが持つべき視点の1つだ。そうした観点では、現時点で多くのベンダー、メーカーのハブとして機能するIoTプラットフォームもある。

ファーウェイのIoTプラットフォーム戦略≫

 中国に本社をおく通信機器ベンダーのファーウェイが提供する「OceanConnect」は、図3のように、IoTシステムに共通する汎用(はんよう)的な部分を全てプラットフォームに吸収しようという試みで提供されている。

 機能としては、ネットワークにつながるデバイスの管理やコネクティビティ管理、クラウドや自社システムへのデータ連携に加えて、各IoTデバイスから吸収するデータを指定のフォーマットに整形し、アプリケーションに必要なデータを必要な形で受け渡すことも請け負う。どのようなメリットがあるのだろうか。

図3 ファーウェイのIoTプラットフォーム「OceanConnect」 図3 ファーウェイのIoTプラットフォーム「OceanConnect」(出典:ファーウェイ・ジャパン)

 OceanConnectは多様な環境であっても、上記のような機能を活用できることを強みとしている。例えば、海外では日本のキャリアではなく、現地の通信事業者のネットワークを使うことになるだろう。その際企業は、ファーウェイが提携する海外の通信事業者のネットワークを使い、国内とは異なる環境からIoTプラットフォームを介して必要なデータを入手できる。同社は、現在中国のチャイナテレコムや、スペイン語圏のテレフォニカなどと契約を結んでおり、企業の海外進出の際は考慮したいポイントだ。

 また、OceanConnectはファーウェイがパートナーとして契約を結んでいる約800社のメーカー、ベンダー、通信事業者などのハブとして機能しているため、他社の製品やサービスと連携できることがポイントだ。

例えば、同社は2016年に照明機器メーカーであるオランダのフィリップスライティングと提携したが、これによってエンドユーザー企業は、OceanConnectのAPIを通じて自社の顧客に対し、フィリップス ライティングの照明を使ったサービスを提供できるようになった。同社は「世界の各業界パートナーとのエコシステム形成を通じて、付加価値の高いサービス実現を目指す」と説明する。

 実際に、OceanConnectを使った実証実験も行われており、日本国内では水道・ガス計測器メーカーと協働して、NB-IoTを利用する水道メーターの自動検針システムをOceanConnectプラットフォーム上で構築して技術検証を行っている(2017年10月発表)。

コラム:検証環境を提供するファーウェイのNB-IoTオープンラボ

 ファーウェイが各国のパートナーとIoTエコシステムを創造する試みの1つに、200万米ドルを投じるというNB-IoTオープンラボの建設がある。現在世界に各国の通信事業者と設置したラボが8カ所、またファーウェイが設置したラボが14カ所に開設されている。東京では2017年9月にこのラボが開設されており、申し込みさえすればシードルーム内でNB-IoTネットワークを利用した、IoTデバイスやアプリとの接続試験が可能だ。

産業別に特化したプラットフォーム「LANDLOG」

 用途を1つの産業に特化したプラットフォームも存在する。例えば、2017年7月にNTTドコモとコマツ、SAPジャパン、オプティムが、建設業界向けの新プラットフォーム「LANDLOG」を提供開始すると発表した。

 これは、建機をはじめとする建設現場のあらゆるものからIoTデバイスによってデータを収集整形してユーザー企業が使用するアプリケーション側に提供するものだ。今後、このIoTプラットフォームをグローバルに展開し、さまざまなパートナーを結ぶハブとすることで、建設生産プロセス全体の生産性や現場の安全性向上に寄与するとしている。

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