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デジタルツインとは何か? 5分で納得、用語解説困ったときのビジネス用語(3/3 ページ)

» 2018年03月07日 10時00分 公開
[キーマンズネット]
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デジタルツインの可能性はさまざまな領域へ

 今後、どのような業界でデジタルツインの活用が期待できようになるのでしょうか。岩本氏は、IoT技術だけではなく、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、3Dプリンタなど「イノベーションアクセラレーター」と呼ばれる技術が、デジタルツインの可能性をさらに広げていると話します。

 例えば昨今、流通業では、製品が流通する市場のデジタルツインを構築し、マーケティング施策をテストするという試みが行われています。最適なキャンペーンなどを打つために、仮想マーケット上でPDCAを回していくのです。デジタルツインに最新の市場データを取り込み、機械学習にかけることで、シミュレーションの精度は継続的に向上するといいます。

 小売業でも「顧客の身体の3Dデータ」を使い、ファッションの提案に役立てるという試みが始まっています。顧客の身体のツインを作り上げ、顧客に合ったサイズや色、形の服をデジタル上で提案することで、試着の手間やイメージの食い違いなどを減らすことが狙いです。

 その他にも、医療の世界では、患者の患部のデジタルツインを作成し、あらかじめデジタル上で手術を試行することで、処置の成功率を高めるという活用法があると岩本氏は話します。

デジタルツインを活用するためのポイント

 アイデア次第では業界を問わず企業活動のあらゆる行程において、デジタルツインのメリットを得られるようになりました。しかし、どの行程でデジタルツインを使うのか、それを実現するために必要なデータや技術は何か、当然ながら各社によって大きく異なります。

 重要なのは「ビジネスゴールを設定すること」。岩本氏によれば、どのような目的をもって、どのようなシミュレーション行えば成果が出るのかという前提を決め、細部の検討に落とし込んでいく必要があるといいます。

 目的を設定した後には、必要な技術やデータを見極めなければなりません。デジタルツインを実現する際には、データの収集やその分析といった段階で、社内にはないテクノロジーを必要とすることも多く、パートナー選びも重要な要素となります。

 本稿では、デジタルツインの用語とともに、デジタルツインを巡る動向について紹介しました。まずは「デジタルツイン」という時代の大きな波について心に留め、日々の調査に生かしていただければと思います。

【お話をうかがった方】

岩本直子氏 IDC Japan ITスペンディング シニアマーケットアナリスト

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