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AIが名刺管理ツールで人を“マッチング” Sansanのとがった新機能イベントレポートアーカイブ(2/3 ページ)

» 2018年03月30日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

一括取り込み/即時データ化機能

 「一括取り込み/即時データ化機能」は、スマホアプリ版のSansanにおいて、複数枚の名刺を一括で読み込み、即時にデジタルデータ化する機能だ(図2)。

 基本的に、Sansan導入企業には簡単に名刺の取り込みができるよう、専用スキャナーが貸与される。とはいえ、出張先などの出先で名刺情報を取り込みたい場合には、スマホアプリ版のSansanを用いて1枚ずつ撮影する方法しかなく、利便性に課題があった。そこで、今回の機能追加では、スマホアプリ版でも一度に複数の名刺を取り込めるようになった。取り込む名刺は並びや方向がバラバラでも複数枚読み取ることが可能だ。

 取り込んだ名刺データを即日で活用できることもポイントだ。また、同機能ではOCR(光学文字認識)とオペレーターによる手入力という二段構えの体制によって、正確さも確保されている。

一括取り込み/即時データ化機能 図2 一括取り込み/即時データ化機能

Sansan Customer Intelligence

 「Sansan Customer Intelligence」は企業内に散在し、統合できていない顧客データを統合するカスタマーデータプラットフォーム。企業内には、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)、経理情報や契約情報などさまざまな顧客データが存在するが、その多くは重複していたり情報が不完全だったりして、情報を最大限活用することができていない状態だという。こうした課題を受け、企業内にあふれるデータを、同社が培ってきた「名寄せ技術」を用いて、整理・統合を行う。統合された情報はクラウド上の企業専用データベースとして格納され、企業の情報マスターデータベースとして活用できる。また、整理統合したデータはSFAやCRMツールと連携、反映させることで、社内の顧客情報を最新に保つことが可能となる。なお、同機能は有償で提供される予定だ。

Sansan Customer Intelligenceのイメージ図 図3 Sansan Customer Intelligenceのイメージ図

スマートレコメンデーション

 プレスカンファレンスでは、同社の研究組織であるDSOC(Data Strategy & Operation Center)が手掛ける、AI技術を用いた2つの新機能も紹介された。DSOCは、同社が16年に設立した名刺のデータ化および研究を行う部門。画像処理・機械学習のスペシャリストやデータサイエンティストが20人以上在籍するR&Dチームを有し、集積された名刺のデータを解析することで企業の情報、人物の情報、人と人のつながりの情報など、ビジネスシーンで活用できる「価値ある情報」の創出を目指すという。

 「スマートレコメンデーション」はユーザーの名刺交換において、地域や業種、交換先部署といった項目の傾向をSansanが分析し、社内に埋もれている次に出会うべき人をレコメンドする機能。具体的な挙動は以下の通りだ。

  • 名刺交換の傾向をSansanが分析し、その傾向にマッチする社内の同僚が交換した名刺を自動的にレコメンド。

  ↓

  • レコメンドされた名刺に対してユーザーは「興味あり」「興味なし」を選択。

  ↓

  • 「興味あり」を選択した場合、名刺所有者に名刺情報を紹介できるか否かの確認通知が送信される。

  ↓

  • 名刺所有者が紹介を承諾した場合、メッセージ機能を介して情報が送付される。紹介を却下した場合にはユーザーへ通知は送られない。

 スマートレコメンデーションでは、ユーザーが「興味あり」「興味なし」を選択することでAIがその傾向を学習し、“ユーザーの出会いたい人”をより強くレコメンドできるようになる。この機能により、「ビジネスの出会い」をユーザー自らが探しに行くのではなく、AIがレコメンドする世界が実現されるという。富岡氏は、同機能が「一期一会の出会いをムダにしないための機能」だと話す。

「経験と勘が重要だった営業という仕事の中で、今後は通常業務をこなしているだけでAIが“会うべき人”をレコメンドしてくれるようになる」(富岡氏)

スマートレコメンデーション機能のイメージ 図4 スマートレコメンデーション機能のイメージ

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