第1回となる本稿では、システムテストの重要性や基本的な考え方、注意点や7つの基本原則について、説明したい。
昨今、システム障害によるサービスの一時停止や、システムの不具合を利用したサイバー攻撃による個人情報の流出など、システムの欠陥に起因するさまざまなトラブルを耳にする機会が多くなりました。日々、ITシステムの管理や導入をされている読者の皆さまにとっても、これらのニュースは決してひとごとではないと思います。
このようなシステムの不具合によるトラブルは、システムのリリース前、ないしは機能改修時において、適切な検証やテストを実施することで、未然に防ぐことができる場合もあります。
そこで、本連載では、ソフトウェアの品質を確保するために有効な手段の1つである“システムテスト”にフォーカスし、その基本的な考え方や、実行時の留意点、さらには、近年増加傾向にある第三者検証会社の選定ポイントなどをお伝えします。
第1回の本稿は、システムテストの基本的な考え方についてご説明します。
ほぼ全てのソフトウェアは、開発者が業務要件を満たすためのビジネスロジックや業務フローを分析し、それをプログラムで表現することによって実装されています。しかし、開発者も人間であるため、時にミスを起こすことがあります。そして、これらのミスは、実装上の不備やドキュメントの欠陥として顕在化し、しばしば故障の原因となり、結果としてさまざまな損害が発生することがあります。
このようなリスクを回避するため、情報システム担当者は、新システムのリリース前、または機能改修時において、ソフトウェアが仕様書通りの挙動となっているかをチェックし、欠陥がないことを確認する“システムテスト”を行う必要があります。
ソースコードやインフラ、ドキュメントを厳しくテストし、システムが稼働する前に欠陥を摘出して修正できれば、実行環境において予期せぬ障害が発生するリスクを低減でき、結果としてプロダクトの品質を最低限保障することができます。
【システムテストの目的】
しかしながら、読者の皆さまの中には、システムテストの重要性は理解しているが、時間およびコスト的な制約もある中で、どのような考え方やアプローチで、テストを計画、実行してよいか分からないという方も多いと思います。そこで、より効率的かつ有効なテストの実行に役立つかもしれない「システムテストの7原則」をご紹介します。
すでにご存じの読者もいらっしゃるかもしれませんが、この7原則は、世界共通の一般的なガイドラインとなっており、40年以上のシステムテストの歴史の中で培われてきた、いわば先人の知恵の集積といえます。
これらの原則を意識することで、テストの効率化が図れると考えられておりますので、皆さまも、ぜひ、この7原則を頭の片隅に入れておいていただければと思います。
【まとめ】
さて、次回は「テストプロセス」の流れについてご説明いたします。
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