クライアント端末のOSを移行する際、まずは移行後のユーザー環境のマスターイメージを作成し、それを基に端末1台1台のキッティング作業を行う。この作業は少なからぬ工数や時間を要するため、企業のクライアント管理担当者にとって大きな負担となっている。
PCの入れ替えと同時にWindows 10移行を行う場合などは、工場出荷時にキッティングを済ませることで負担をある程度減らすことも可能だが、Windows 10マシンを「Windows 7へのダウングレード権」を行使して使っていた場合などは、PCのOSだけを入れ替えてハードウェアはそのまま使い続けるケースも多いだろう。そのようなケースでは、普段業務で使っているPCをいったん回収して移行作業を行う必要があるため、ユーザーの業務になるべく影響を与えないよう移行スケジュールを立てておく必要がある。
もし移行作業のための要員を十分に確保できない場合は、いっそのこと現場ユーザーに移行作業を委ねてしまうという手もある。例えば、富士ソフトが提供している「らくらくアップグレード for Windows」というツールは、セットアップに必要なファイル一式を納めたUSBメモリをPCに挿すだけで、最短30分で自動的にWindows 10移行を行えるというものだ。こうした自動化ツールをうまく活用すれば、ITの専門要員がいない中堅・中小企業でも効率的にWindows 10移行を実施できるだろう。
Windows 7の延長サポート期間が切れるのは2020年1月だが、実はそれと前後してほかにも幾つかのマイクロソフト製品がサポート切れを迎える。例えばOffice 2010は2020年10月にサポート切れを迎えるため、もし現在もOffice 2010を使い続けている場合は、Windows 10移行と合わせてOfficeのバージョンアップやOffice 365への移行も合わせて検討しておく必要がある。
また、いまだに多くの企業で使われているデータベースソフトウェア「SQL Server 2008」が2019年7月に、そしてサーバOS「Windows Server 2008」が2020年1月に延長サポート切れを迎える。もしこれらの製品の上で業務アプリケーションを運用している場合は、これらの製品のサポート切れにも対応する必要がある。
現在ではWindows 7のサポート切れの話題ばかりが大きく取り上げられ、これらの製品のサポート期間が同じ時期に切れることはまだあまり知られていない。そのため、Windows 10移行の計画を立てる段階で、社内で利用されている他のマイクロソフト製品も一度全て棚卸しして、サーバOSやミドルウェア製品まで含めてサポート期間を確認しておくことをお勧めしたい。
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