アセスメントおよび互換性チェックの結果に基づき、具体的なOS移行作業の計画を策定する。
その際、全社のクライアント端末を一斉にWindows 10に移行するのも手だが、移行リスクをなるべく抑えるためには、部門単位で段階的に移行していく方法を検討するべきだろう。
まずは、万が一トラブルが発生しても比較的早く対処できるIT部門や、Windows 10の高度なセキュリティ機能がより生きる部門(ノートPCを社外に持ち出す機会が多い営業部門など)から移行を始め、そこで得られたノウハウを生かしながら徐々に適用範囲を広げていくことをお勧めする。
また、実際の移行作業の手順を設計する際には、予期せぬトラブルが発生した際に元の環境に確実に戻せる手だてを必ず準備しておくようにしたい。
Windows 10は「最後のWindows」と呼ばれる通り、メジャーバージョンアップは今後行われない。その代わり、半年ごとのFeature UpdateでOSの機能を順次拡張していく。その際、それまで使ってきた業務アプリケーションが正しく動作しなくなる可能性もゼロではないため、Feature Updateの適用前にアプリケーションの動作確認を行っておく必要がある。
そのためには、Windows Updateに任せてFeature Updateを自動適用するのではなく、「Windows Server Update Services(WSUS)」や「Microsoft System Center Configuration Manager(SCCM)」の機能を使ってFeature Updateの適用を延期し、アプリケーションの動作確認のための時間を稼がなくてはならない。こうした運用を行うには、あらかじめFeature Update適用のポリシーを検討したり、WSUSやSCCMの導入と設定を行う必要があったりするため、事前に入念な検討と運用設計を行っておく必要がある。
事前に立てた計画と作業手順に沿って、実際に移行作業を行う。その際、端末上のユーザーデータや設定データをいったん退避させ、OS移行完了後に復旧させる作業を行う必要がある。多くのデータを移動させるには時間がかかり、手順設計や作業そのものに抜け・漏れが発生するリスクも増すため、日頃から余分なデータを端末上に残さないよう運用ルールを徹底すると同時に、移行設計を作成する段階で「本当に移行の必要があるデータ」を絞り込んでおくことが重要だ。
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