奔放で刹那的な生き方は、若者の特権のようなもの。それ故に、若くして犯罪に手を染めてしまったり、いわゆる「不良」の烙印(らくいん)を押されてしまったりする少年少女は少なくない……はずだったのだが、今では少し話が違うようだ。
オーストラリア国立大学の調査によれば、不良少年少女は減少の一途にあるという。1984年生まれのグループと1994年生まれのグループを対象に、彼ら彼女らが10歳から21歳に成長する間にどれほど犯罪にかかわったのかを集計したところ、大きな変化が明らかになった。
同大学では、その理由の1つとして「インターネット」の存在を挙げる。果たして、少年少女が不良にならなくなった理由とは?
調査によれば、1994年生まれグループの中で警察のお世話になった人の割合は、1984年生まれグループの約半分にまで減少した。具体的には、車両窃盗、一般的な窃盗がそれぞれ59%減、強盗行為が56%減、飲酒運転が49%減、暴力行為が32%減だ。薬物犯罪は残念ながら減少度が最も低いが、それでも22%減となった。
主任研究者、ジェイソン・ペイン博士は、「若者の生活習慣が変化したことで犯罪行為が減少したことに疑いの余地がない」と分析する。「若者は、路上で『ハングアウト』のようなメッセンジャーツールを使い、誰かから監視されたり干渉されたりすることもなくコミュニケーションできる。ホームエンターテインメントシステムで遊んだり、ソーシャルメディアを利用したりする時間が増えたことで、犯罪の機会が減ったのだ」。
一方で、調査対象があくまで「昔ながらの犯罪」にとどまっていることも指摘する。同氏は、「若者たちがデジタル環境に馴染むほど、さまざまなオンライン犯罪に手を染めている可能性もある」と語る。また、軽犯罪で一度だけ逮捕される若者の数が減った一方で、再犯で逮捕されるケースやさらなる重犯罪に手を染める若者の数はそれほど変化がないことも指摘した。
若者の犯罪減が全てネットのおかげというわけでもないだろう。また、今回の研究結果はオーストラリアのニューサウスウェールズ州のケースであり、日本の若者たちにも当てはまるかどうかは定かではない。
ここで、自分が若かったころのことを思い出してほしい。当時は時間を持て余していなかっただろうか。だからこそ意味なくたむろしたり、ちょっとした悪さをしたりしたのではないだろうか。今の若者たちは、その時間をまるまるネット利用でつぶしている。昔ながらの犯罪も減るというものだろう。
今後はスマホネイティブな子どもが登場する。そのとき、子どもたちの犯罪はどう変化するだろうか。
上司X: ネットのおかげで不良少年少女が激減したという話だよ。
ブラックピット: 確かに、昔のようにヤンキー然とした子どもが街を闊歩(かっぽ)するような光景は減った気がしますね。若者の不良離れってことですか。
上司X: ちょっと違う気もするが、若者が楽しくネットを利用しているからなんだそうだよ。
ブラックピット: Twitterが楽しくて、盗んだバイクで走り出す必要もないってことですかね。
上司X: 博士の推測ではあるけどな。若者の犯罪が減ったのは、実際の数字に表れている。
ブラックピット: でも、Twitterで「やらかす」若者も増えましたよね。商品を台無しにしたり、盗撮したり、誹謗中傷したり……。こういったジャンルの犯罪は昔はなかったわけで。
上司X: そうなんだよな。
ブラックピット: 若者なんて「暴れてナンボ」というところもあるじゃないですか。その舞台がリアルからネットに移っただけなんじゃないですかねぇ。ええと、あれは僕が18歳のころでしたか……。
上司X: 武勇伝は結構だよ。でもね、キミみたいに荒ぶっていた若者(自称)ばかりじゃないんだから。今後の調査に期待したいところだな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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