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かの国の裁判所が続々とAIを導入、まさかの役目とは?:473rd Lap金曜Black★ピット

最新のIT技術の導入にためらいを見せることが少ないお隣の国、中国。交差点で信号無視する人を街角の大型ディスプレイに瞬時に拡大表示したり、トイレのペーパーを一定量提供するのに顔認証技術を採用したりと話題には事欠かない。

» 2018年07月13日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 新しい試みが中国で始まった。それはAI(人工知能)技術を裁判所で活用するというのだ。人口が多いだけに裁判の件数も非常に多のだろうか。裁判にAIを使うのは合理的かもしれない。

 ずばり「人工知能+裁判所」と名付けられたプロジェクトは、既に中国国内の400を超える裁判所でテストが進む。それにしても「AIに裁判を任せてしまって大丈夫なのだろうか?」というのは早合点。はてさてAIが任された業務とは?

 中国の裁判所に導入されたのは、iFlytekのAI技術だ。同社が開発した音声アシスタント「iFlytek」は、AmazonのAlexaやAppleのSiriど同様、人間の音声を判断できる。しかも、中国語圏において、iFlytekはそれらよりも大きく普及しているのだ。

 中国科学院によれば、iFlytekの音声認識性能はSiriのそれを上回る。裁判所以外にも政府や警察、銀行といった多くの政府機関や企業でiFlytekのAI技術は活用されている。

 実は、中国の裁判所でAIが活躍する場面は主に「中国語の音声認識」だ。音声によって発言者の身元確認を行う他、原告や被告の発言はもちろん、事件に関わる証言についても音声認識の後に、リアルタイムで文字情報として記録する。また、画像認識技術を使って証拠物件を確認したりフィルタリングしたりもする。

 同社の技術を使うことで法廷審問にかかる時間が30%も短縮できたというデータがあるらしい。効率化という面では、なかなか良好なデータではないだろうか。ちなみに現在、iFlytekのAI技術は、殺人や窃盗、電話詐欺、違法な資金調達といったヘビーな事件の審理に活用され、かなりの信頼が寄せられていることが分かる。

 今後、裁判所は同社のAI技術をより幅広い分野の審理で採用する計画で、2019年末には79分野をカバーするという。いずれ文字情報の記録を超える能力を持ち、ばっさばさと審理を進めていく日も近いかもしれない。

 ただでさえ裁判は時間がかかる。日本でも柔軟に最新技術を採用してほしいものだが、いまだにファクスが連絡手段に使われることもあるそうだから、まだまだIT化の道のりは長そうだ。


上司X

上司X: 中国でAIが裁判に使われ始めたという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 「AIが判決を?」と思ってしまいましたが、違いましたね。


上司X

上司X: 音声を認識してテキストを起こす、つまり日本でいうところの書記官がやっている仕事をこなす感じなのかな。


ブラックピット

ブラックピット: 書記官というのは裁判に関する書類を作成したりそろえたりと、いわば事務的な仕事をする人ですね。裁判中に速記タイプで速記録を作成しているのは「速記官」です。


上司X

上司X: へー、そうなんだ。


ブラックピット

ブラックピット: 速記官が使う「ソクタイプ」とか「ステンチュラ」とか「竹本キーボード」とか「はやとくん」とかが面白くてですね。それこそ一般人には使いこなせない速記専門機器なんですよ。それを使って法廷でやりとりされている一語一句を正確に記録するするワケですからね。


上司X

上司X: 妙に詳しいんだな。でもまあ、そういうことをAIに任せられるとしたら、任せた方がいいに決まっているわな。速記官の仕事を奪ってしまうことにはなるかもしれないけど。


ブラックピット

ブラックピット: 言い方はアレですが、それこそ雑多な裁判は星の数ほどあるもので、よっぽど重要な事件でもなければわざわざ速記官が法廷に現れて速記することはないそうですよ。基本的には書記官が記録しているんだそうで。


上司X

上司X: じゃあ、基本的には書記官の仕事を軽減するわけか。日本の法廷事情はともかくとして、こんなふうにAIが進出する業種というのはこれからも増えることだろうな。中国ほどトントンとAI化が進むとは思えないから「俺たちの仕事はまだまだ安泰だな」なんて思っていたら、あっという間に仕事がなくなるかもな。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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