この項目で目についたのは「Windows Server 2000」や「Windows Server 2003」など、既にサポート期間が終了した製品の運用を続ける企業が少なからず存在することだ。Windows Server 2016のHyper-VがサポートするゲストOSとしてはこれらが含まれていないことには注意が必要だ。
サーバOSの移行は、ライセンス費用やサーバ、周辺機器などの購入費用の調達から移行に掛かる事前調査や動作検証作業、アプリケーション改修のための人工確保など多くの負担が掛かる。そのため、Windows Server 2003のサポート終了対策の際に、古いサーバOSで稼働するアプリケーション、ファイル、ドライバなどを仮想化して業務アプリケーションの“延命”措置を取った企業は少なくない。こうした企業は特に今回の「Windows Server 2008/2008 R2」延長サポート終了で対応を迫られるだろう。
ここまでは業務システムにおけるサーバOSの状況を整理してきた。2020年1月にはクライアントOSのサポート終了も控えており、随時、Windows 10などに移行する必要がある。つまり、今回のサポート終了問題では、仮にアプリケーションの改修を伴う場合には、検証を新しいクライアントOSにも対応させる必要がある。
そこで業務アプリケーションにアクセスしているクライアント端末にはどのようなOSを搭載しているのか調査したところ、「Windows 7」が85.4%、「Windows 10」が75.7%という結果になった。なお「Windows 8/8.1」は34.0%だった。まだサポート終了までは期限があるとはいえ、9割近くの企業で「Windows 7」搭載のクライアント端末が残る結果となった(図3)。もちろん「Windows 10」への移行も進みつつあるものの、両者を並走して進めている企業が少なくないのだろう。今後、具体的な移行計画を検討する際に行程が複雑化する可能性もあるため、クライアントOSを含めて余裕を持ったスケジュールを検討するとよいだろう。
今回は「Windows Server 2008/2008 R2」の延長サポート終了に焦点を当てているが、実は同時期にサポート終了を迎えるMicrosoft製品は多い。例えば2020年1月には「Windows 7」、同年2020年10月には「Office 2010」がそれぞれ延長サポートを終了する。前述したようにライセンス終了に伴うアップグレードや事前調査、関連アプリケーションの改修にはそれなりの負担が掛かるのが一般的だが、それに加え今回はサポート終了を迎えるソフトウェアが多いことから、より対応工数がかさむことが予想される。このような背景から更に今後「Windows 7」搭載のクライアント端末の切り替え対応が進むものと考えられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。