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現場の声に応えた「普段使い」のRPA――Minoriソリューションズの自信作「MinoRobo」とは

» 2018年08月23日 10時00分 公開
[相馬大輔RPA BANK]

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RPA BANK

RPA BANKが2018年6月に行った調査によると、国内の従業員数1,000人以上の企業におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入率は、テスト段階も含めて8割に到達。膨大な事務処理を抱える大企業の大半がロボットによる代替に着手済みという実態が明らかになった。その成果を踏まえ、中堅以下の企業においても現在、RPAの活用を模索する動きが活発化しつつある。

コスト面と操作性の双方で、いっそう手軽なツールが求められるようになったトレンドを捉え、システム開発会社の株式会社Minoriソリューションズ(東京都新宿区)が2018年1月にリリースしたのが、PC1台からでも導入できるRPAツール「MinoRobo」だ。

「普段使いのRPA」を目指したという開発の背景や製品の特徴について、同社社長の森下祐治氏と、開発責任者の吉田晴香氏(東日本事業部ソリューション第一本部副本部長 兼 金融イノベーション部長)に聞いた。

株式会社Minoriソリューションズ 代表取締役社長 森下祐治氏

ユーザーの“厳しい本音”から生まれた「MinoRobo」

―まず、システム開発会社である貴社が2018年1月に「MinoRobo」をリリースし、RPA市場に参入した経緯を聞かせてください。

森下: われわれはRPAを、汎用的な「業務改革のエンジン」だと考えています。定型作業の代替はもとより、日々の経費精算の効率化や経営分析用の資料作成、システム間連携への活用など、想定される活用シーンは幅広い。そこで、なるべく手軽に導入して「普段使い」できるツールを目指して開発したのがMinoRoboです。

当社はもともと顧客企業のシステム開発・運用を主体とする企業ですが、同時に10年以上前からリコメンドエンジンなどで自社による技術開発も続けてきました。また、多忙になりがちなIT業界の「働き方改革」としてプロジェクト管理を徹底するなどした結果、当社社員の月平均残業時間は、過去4年とも20時間を下回っています。

顧客企業や自社の業務効率化というこれまでの経験を踏まえ、自動化可能な作業を肩代わりするRPAが働き方改革に有効と判断したこと、また、他社製品に比べ使い勝手などの面で優位性に確信を持てたことから今回、MinoRoboのリリースに至りました。

吉田: 開発着手から4カ月でプロトタイプを発表し、半年でリリースにこぎ着けました。これは社内最速といってよいスピードでの展開ですが、この間、特にこだわった操作画面のデザインに関しては全面的な見直しを2度行っています。

―短い開発期間の中で、相当な試行錯誤を重ねたのですね。

吉田: はい。「誰にとっても使いやすいこと」を目指し、あえてこの種のツールに詳しくないメンバーも交えて開発してきました。今回何より大きかったのは、当社と長年のお付き合いがある金融機関からのご協力を得て、試作段階の製品を現場の事務職の方に試していただけた点です。「全然分からない」「こんなの使えない」といった厳しい声も受け止め、改良を重ねてきました。

その結果、最終的にリリースした製品は「現在市場に出回る、どのRPAツールよりもシンプルで分かりやすい」と断言できる仕上がりになりました。実際、ご導入いただいているユーザーからも同様の声を多くいただいています。

MinoRobo 画面イメージ
株式会社Minoriソリューションズ 東日本事業部 ソリューション第一本部 副本部長 兼 金融イノベーション部長 吉田晴香氏

RPA導入の本質的な価値は、業務改善へのマインドセットにある

―ロボットが人間の作業を肩代わりすれば、確かに効率化が期待できます。ただ、業務改革や働き方改革を進める具体的な手法はRPAだけに限りません。いまRPAを導入する意義を、どうお考えになりますか。

森下: どの企業の経営においても、業務改革では「間接費の圧縮」が検討されると思います。見直しの対象として業務自体はもとより、人件費を含むさまざまな選択肢が挙がると思いますが、現在は総じて「人手不足」かつ「採用難」ですから、なるべく今いるスタッフが助け合って生産性を上げていくことが大切です。従って「やり方を知っているのはあの人だけ」という仕事の「属人化」を、まず解消する必要があります。

複雑な工程が絡み合ったように見える業務も、流れを整理して要所ごとに区切れば、そこから単純作業を取り出してロボットに任せていくことができます。最後は人間しかできない判断が残りますが、ここまで分解した一つ一つの判断は、慣れれば誰でもできるものです。つまりRPAは、単に作業を効率化するだけでなく、属人化した業務を改善し、また将来的な属人化の防止に役立つ。まさに「働き方を改革する」ツールだと考えています。

吉田: 「この作業をロボットに任せればこれだけ楽になる」とイメージしやすく、ボトムアップでの業務改善に向いていること、また導入効果の割に費用が手頃なため、早く・容易にコストを回収できる点もMinoRoboの大きなメリットだと思います。

MinoRoboをPC1台にインストールする場合の年間ライセンス費用は税別85万円です。月あたり約7万円というリーズナブルな設定により、トップダウンでの業務改革だけでなく、現場から声を上げてRPAにチャレンジする企業の力になりたいと考えています。

―使い勝手のよさとリーズナブルな価格設定がMinoRoboの特長とのことですが、機能面でのポイントはありますか。

吉田: 「再現性の高さ」ですね。つまり操作する端末が変わるなどしても、ロボットがいつも安定的に動く点です。これは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、ロボットに作業内容を覚えさせるときに従来よく用いられてきた「画面上の位置で指定する方法」(座標指定型)は、ロボットを作成する環境と実行させる環境の間で、使用するフォントサイズやディスプレイの縦横比が異なる場合にエラーが起きる点がネックになっていました。

MinoRoboでは、「このファイルを開ける」「このリンク先を参照する」などと具体的に作業対象を指定する方法(オブジェクト認識型)が使用可能で、座標指定の方法とも併用できます。これにより、ブラウザのフォントサイズやディスプレイの解像度に依存しなくなるので、運用上のトラブルを未然に防ぐことができます。

RPAは働く人の代替ではなく、人を補完してくれる存在

―RPAは汎用性が高いというお話が冒頭でありました。ユーザーの事例なども踏まえ、特に有望な用途がありますか。

吉田: MinoRoboでは、シェアの高いWebブラウザ「Google Chrome」の操作も可能です。Webビジネスを行う企業で頻繁に発生する「ECサイトへの商品登録作業」などでは、能力を存分に発揮できると思います。

実際の導入事例では「人事異動ごとに新たな所属部署のデータを反映し、従業員のアクセス権限を自動更新する」用途でMinoRoboを活用している企業もあります。給与計算との連携も含め、人事関連の定期的な作業をロボットで効率化できるケースは、かなり多いのではないかと考えています。

―最後に、今後のMinoRoboの展開についても聞かせてください。

吉田: 業務のどこで何のロボットが稼働しているのか把握し、統制から外れて動く“野良ロボット”を出さないための仕組みとして、近日中にMinoRobo専用の管理ツール「MinoRoboManager」をリリースします。

個々のPC上で動作するタイプのツールであるMinoRoboは手軽さの半面、サーバー上で動作するRPAツールに比べると管理・統制が不十分な面がありました。MinoRoboManagerは、この点への対応を望む声にお応えした上で、ロボットが基幹システムにアクセスする際の権限を一元管理する機能なども搭載する予定です。

森下: MinoRoboによるロボットの作成や運用は、現場の方でも十分可能ですが、「どの作業に、どのような形で採り入れれば効率的か」を考えるのは案外難しいところです。そこで当社としては、システムインテグレーターとしてRPAと基幹システムの連携、また他のツールとの併用も含めた最適なソリューションを提案できる強みをアピールしていきたいと考えています。

RPAは、働く人を代替するものではなく、むしろ人を補完してくれる存在です。既存のシステム間に“はしごを架ける”形で採り入れられるため導入のハードルは低く、また活用領域に垣根がありません。そのため、業務にAIなどを採り入れていく「デジタルトランスフォーメーション」の基盤固めにもなるでしょう。ぜひ気軽にロボットを使ってみて、働き方改革の「推進力アップ」を実感いただければと思います。

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