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レノボ製品に「バックドア」あり、でもそれって何か問題?:484th Lap金曜Black★ピット

レノボが製造する一部の製品には「バックドア」が仕込まれている。「またまた、どうせネットのウワサでしょ?」などと思うなかれ。同社の幹部がその事実を認めたのだ。

» 2018年09月28日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 Tech系メディア「The Inquirer」によれば、同社CTOのピーター・ホルテンシウス氏がジャーナリストのクリス・メリマン氏の質問に答えた。「特定の国に向けて生産する一部の製品には現地仕様の設定がある」と受け取れる答えだ。

 レノボといえば、ワールドワイドにサーバやPC、スマホなどの製品を展開する大企業だ。一体、どこの国向けに出荷するどんな製品に「メーカー公式」のバックドアが仕込まれているのだろうか。

 特定の国とは、ずばり中国だ。メリマン氏は、レノボのサーバ製品についてホルテンシウス氏を試すような質問をした。「中国向けに専用製品が生産されている理由は1つしかないですよね?」。これに対してホルテンシウス氏は「当社は現地の状況に合わせて製品を生産しています。ローカルな操作方法が存在することは理解していますし、現地の規範に従って、現地の法律を尊重しています」と無難な回答を返した。

 メリマン氏は、今度は直球で質問した。「もし中国政府が望むなら、貴社は中国向けサーバ製品にバックドアを設置しますか?」と。ホルテンシウス氏は少し考えてから「もし中国政府がバックドアをグローバルで求めたら、われわれは従いません。しかし彼らが自国内向けの製品にバックドアを望むのであれば……。『中国にある多国籍企業なら、どの企業も同じ行動をするでしょう』と答えておきましょう」と回答したのだ。何とも歯切れは悪いものの、決定的なことを言っている。

 ホルテンシウス氏は続ける。「われわれは現地の法律を順守します。その国の法律がバックドアを禁止していれば、当然バックドアを仕込みません。そして当社は、法律を順守するだけでなく法律の倫理と精神にも従います。もしも中国以外にもサーバにアクセスしたいと求める国があれば、われわれは彼らが求めるものを提供するでしょう」。

 非常に微妙な言い回しだが、結局は「その国の法律で許されていて、バックドアからサーバにアクセスしたいという要望があれば、それに対応する」ということになりそうだ。この件についてはここで打ち切りとなった。ともかくレノボ製品のうち中国向けに出荷されたサーバにバックドアが設定されている可能性は高いといえるだろう。

 メリマン氏は、記事を「レノボは他の国で行うべきでないことを中国でやっているというわけではないが、中国のサーバを経由したとき、相手はあなたの友人ではないと思うべきだ」とまとめているが、モヤモヤが止まらないのは俺だけだろうか?


上司X

上司X: レノボが中国向け製品にバックドアを設定していることが確かっぽいという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: うーん。CTOの話を聞くに……。


上司X

上司X: 何だい?


ブラックピット

ブラックピット: 例えば、グローバルで製品を展開している企業の製品なら、日本向け製品には日本語キーボードが採用されるじゃないですか。それって日本のユーザーが必要としているからですよね?


上司X

上司X: 確かに。


ブラックピット

ブラックピット: 中国向けのサーバ製品となれば、中国のネットにつながるわけですから、マトモに運用するなら政府の意図に沿って「オープン」であることは必須なのではないかと。


上司X

上司X: 「オープン」の意味が違う気がするけどな。そうでないと普通に運用できなくなる可能性もあるだろう。


ブラックピット

ブラックピット: ですから、ホルテンシウス氏が言うように、ローカルのしきたりに従うのはメーカーとしても当然なのではないかと。その国においては何ら法律に反するわけではないですしね。


上司X

上司X: メーカーとしてはその国のユーザーの要望に応えるのは当然ということか。一理あるかもしれない。どこに正義があるかは当事者しか分からないわけだ。バックドアの件は、あくまで現地の法に従った「仕様」ってことで、レノボが不法行為に手を貸しているというわけではないことは強調しておこう。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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