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» 2018年12月18日 10時00分 公開

従業員数10万人を見据えた業務改革。RPA導入で終わらない定着までのノウハウとは――NECソリューションイノベータの挑戦

[相馬大輔RPA BANK]

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RPA BANK

従業員数10万人を超える企業は国内に23社。このうちの一社が大手電機メーカー「NECグループ」である。

同グループは、業務効率化のためにグループ内のバックオフィス業務機能を一括で担う組織を2014年に新設。それがNECマネジメントパートナーだ。

同社はNECグループのシェアードサービスセンターでありながら、同グループの働き方改革を推進する役割を担っている。働き方改革を推進する取り組みとして、グループ展開を前提としたRPA導入を推進し、NECソリューションイノベータの支援を受けながら自社でのRPA活用を進めているという。

現時点で既に200体を超えるロボットが稼働するスピーディな業務改革の最大の鍵となったのは、NECソリューションイノベータによるRPA定着後のグループ展開を見据えた業務可視化手法の活用と、「ハイブリッドRPA」活用ノウハウにあった。ロボット開発の前に業務の可視化に悩みを抱える企業も少なくない。今回は同プロジェクトを推進する担当者ら業務可視化のアプローチについて聞いた。

(左から)NECマネジメントパートナー株式会社 プロセス・IT統括事業部 RPA推進センター センター長

大岡明久氏、NECソリューションイノベータ株式会社 NIS事業本部 ソリューションビジネス事業部 マネージャー 前田岳史氏

RPA推進の砦。NECグループのシステム開発・運用保守を担うプロフェッショナル集団

──NECマネジメントパートナーのミッションとRPA取り組みの狙いについてお聞かせください。

大岡: 当社は、総従業員数10万人に及ぶNECグループ共通業務の機能を集約し、間接費用削減への貢献やスタッフ機能の業務改革をリードする役割を担っています。

組織は機能別の事業部となっており、グループからの業務の受託だけでなく、一般の企業からも仕事をいただいています。なかでも2018年4月に立ち上げた「RPA推進センター」は、当社自身だけでなく当グループ企業を対象にRPAを中心に業務効率化をリードする使命を担っています。

──RPAを導入した背景やきっかけを教えてください。

大岡: 以前から当社では、業務プロセスの改善を通じた業務効率化を推進していました。欧米企業で活用されている業務改革手法「リーンシックスシグマ手法」*1に基づいた全社的な業務改革に取り組んでいるなかで、グループの共通業務を集約した後の標準化・効率化において、RPAが有効な手段になると判断したことが導入のきっかけです。

RPA推進にあたって支援いただいたNECソリューションイノベータ社は、グループ全体のシステム開発・運用保守を担ってきたプロフェッショナル集団として、当社の基幹系システムの構築・運用を担っていただいています。

今回のRPA導入にあたっても、当社の業務プロセスやシステム事情を熟知していることもあり、相談したという経緯です。

稼働ロボット200体以上。定着を見据えた業務可視化手法「HIT.s法」と「ハイブリッドRPA」の活用がRPA拡大を実現

──現在では稼働ロボットが200体を超え、様々な業務でRPA活用が定着していますが、ここまでスムーズに拡大できたポイントは何だったと考えますか。

前田: 当グループでは、RPAが盛り上がりを見せる5、6年ほど以前から、ホワイトカラーの業務可視化手法「HIT.s法」*2を用いた「業務可視化による業務改善」を進めてきており、RPA導入においても推進拡大の最大の鍵となったのも、この「HIT.s法」でした。

RPA導入以前にも、「HIT.s法」で作業の見直しを行い無理や無駄を取り除いた結果、約2〜3割の業務を効率化した実績があったので、この手法をRPA導入・拡大のために応用実践したのです。

まず、「HIT.s法」の講義・指導の資格を有する当社の事務革新士や「HIT.s法」有識者を中心に方法論から固めていきました。「HIT.s法」のSチャート*3で業務を可視化した後に、どの工程をロボットに置き換えるかを共に検討することで、認識齟齬が起きにくくなります。

さらに「HIT.s法」でロボット化後の業務フローを再び可視化すれば、それが手順書の役割を果たし、ロボットが不具合を起こした場合でも人間が適切にフォローできるのです。当社は当グループ全体のRPA推進と運用保守を担っているため、このような導入から定着化のノウハウが蓄積されています。

一般的に、“業務フローや業務を可視化せよ”とよく言われますが、では具体的にどうやるのかという方法論がないケースが多いと耳にします。

しかし当グループの場合、幸いにも「HIT.s法」という確立された手法を用いることができ、そしてこれを共通言語としながら進めることができるため、認識のズレが起こりにくいと自負しています。

大岡: 「HIT.s法」を採用することでロボット開発のための可視化も短期間で行う事ができ、PoCから本格展開への移行もスムーズに行えました。同社が提供するのは適材適所で複数のツールを使い分ける「ハイブリッドRPA」であるため、現場の負担なく導入でき、その後の大規模導入にもスムーズに移行できました。

現場が効果を実感しやすい業務から始め、数字と感覚の両方で費用対効果を感じてもらうこともポイントでした。

──順調な導入が実現しているところではありますが、苦労した点は何がありますか。

前田: 作業の可視化ですね。日本人にはどこか職人的気質がありますので、作業者本人が「自分だけが知っている」という状況に美徳を感じる傾向があります。それらの表面化しない作業を掘り起こすのに最初のうちは少し苦労したのですが、ここでも「HIT.s法」が大いに役立ちました。

「HIT.s法」に基づいて、既存の業務を文字や数字、図を組み合わせて可視化し、現場の担当者に一つひとつ丁寧にヒアリングしていくことで、抵抗感を覚えずに、より効率化できる業務フローを一緒に作りあげていくことができました。この過程では多くの気付きも得られますし、何よりも人とロボットが融和した業務フローを描けます。

そして、ロボットと人がいかに融和して業務を進められるようにするかというコーディネートも重視しました。たとえば、例外的な作業までロボット化してしまうと、従来のシステム構築と変わらなくなってしまいます。

すべてを自動化させるのではなく、現場で人とロボットが共生できることこそが、RPA活用のポイントだと考えています。

──今後、RPA活用をどのように展開していく予定ですか。

大岡: 現在では200体を超えるロボットが稼働していますが、引き続き現状の「RPA1.0」をNECソリューションイノベータと二人三脚で取り組むとともに、今後は自動化対象領域をさらに拡大させていきたいと考えています。

具体的には、AI-OCRやコグニティブ、RPA統合管理といった「RPA2.0」への取り組みです。一部はすでに取り組みに着手しており、早々に展開を強化していくつもりです。

「HIT.s法」を中心にした徹底した業務プロセスの可視化により、10万人規模での運用を見据えたRPA推進を実践してきたNECソリューションイノベータ。この導入から定着化のノウハウは「RPAルール策定サービス」に、「ハイブリッドRPA」活用ノウハウは内製化支援を含め体系化した導入支援ソリューションとしてグループ外の企業へも提供している。

RPAの導入プロセスや定着化に悩む企業にとって、心強いパートナーとなりそうだ。

注1:リーンシックスシグマ手法…ISOにより国際規格化された品質管理手法であるシックスシグマと、トヨタ生産方式を融合させた組織改革におけるグローバルスタンダードの手法。間接部門を含めたあらゆる部門で業務効率化が期待できる。

注2:株式会社システム科学が特許を取得する、チャート作成システムおよび業務プロセス可視化法。

注3:株式会社システム科学が商標を取得するストレートチャート。

注4:本文中に記載された社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。

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