IDC Japanは、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)の国内ビジネス利用に関する調査を実施した。2017年に実施した調査結果から状況はどう変わったのか。また、VRとARの今後のビジネス活用を阻む要因とは何か。
IDC Japanは、「2018年 国内AR/VR市場 企業ユーザー調査」の結果を発表した。
同社の調査によれば、VR(Virtual Reality、仮想現実)をビジネス利用していると回答した割合は、全体の3.3%であった。2017年の同調査結果は2.7%であったが、この1年で0.6ポイント増加したことになる。ただ、利用者が増加したものの今後利用を検討する割合が減少しているため、全体としては2017年の調査結果とほぼ同じ割合となった。
主にトレーニング分野や不動産の内覧などでの利用が拡大しているようだ。業種別で見ると、情報通信業に続いて製造業での利用が盛んであることが分かった。今後利用を検討するとした層に利用目的を聞いたところ、マーケティング用途で利用を考える割合が高かった。
一方、AR(Augmented Reality、拡張現実)は、現在ビジネスで利用している割合は2.1%、今後利用する意向と回答した割合は6.3%となり、いずれも2017年より下回り、厳しい結果となった。利用用途は、ARコンテンツの開発環境の開発や販売に分類されるものが多く、実業務での利用は遠隔業務支援やテレワークにとどまる。
現段階でARやVRをビジネス利用していないとした層に懸念要因を尋ねたところ、VRはHMD(Head Mounted Display、頭部に装着する機器)の価格、ARについては消費者への浸透、普及を懸念する声が多く挙がった。HMDの低廉化や広い層へリーチすることが今後の課題となりそうだ。
現在VRやARをビジネスで利用している層は同技術への投資意欲が強く、約4割が投資を増やすと回答した。このようにARやVRのビジネス活用に意欲的な層とそうでない層とのリテラシーの格差は今後拡大する可能性がある。
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