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» 2019年05月09日 10時00分 公開

RPA、約12万時間削減の裏でロボット停止の嵐――リクルートはどう解決したのか

RPAによって年間で約12万時間を削減したリクルートライフスタイル。しかし、導入当初は「毎日のようにロボットが止まる」という現象に悩まされた。これを解決し、RPAプロジェクトを成功に導くためにしたこととは?

[吉村哲樹,オフィスティーワイ]

 働き方改革を背景に、業務の効率化を実現するRPA(Robotic Process Automation)。導入企業が増えた今「RPAは思ったよりもうまくいかない」という声が集まっている。

 「ホットペッパーグルメ」「ホットペッパービューティー」「じゃらん」など、多種多様な一般消費者向けサービスの企画、開発、運用を行うリクルートライフスタイルも同様の課題を抱えていた。同社はRPAを導入したのはよいものの、「ロボットが頻繁に止まる」などの問題にぶつかった。「ロボットが少し動いて止まるを繰り返すといった具合で、なかなか作業が進みませんでした」と同社は当時の悩みを明かす。

 こうした課題に対し、ある人物が立ち上がり、ほぼ1人で5つの対策を考え出した。その内容とは? さらに、同社が大きな成果を出せた背景には、ロボットを運用するための体制に秘密がある。RPAによって、年間で約12万時間を創出したリクルートの事例に学ぶ。

RPA導入で大幅な業務効率化を実現したリクルートライフスタイル

 リクルートライフスタイルは、2017年から、システム開発からあぶれた業務の効率化するために、RPAの全社導入を進めてきた。

 同社のRPA導入の特徴の一つは、リクルートグループにおいてITやネットマーケティングといった専門機能を担うリクルートテクノロジーズが導入を主導していることだ。リクルートテクノロジーズの中には、各事業会社に対応したIT支援組織が存在しており、今回のRPAプロジェクトを担っているのも、リクルートライフスタイル専門の支援組織である「RLS(RLSはリクルートライフスタイルの略)ディレクション部」だ。

 RPA導入においては、業務部門が主体で開発や運用などを担う企業も多い一方、リクルートではいわゆるITシステム部門がプロジェクトを主導する体制をとる。どのようなメリットがあるのか。

現場主導にはさせない? リクルートのベストスタイルとは

リクルートテクノロジーズ 音羽 佐智子氏

 RLSディレクション部でリクルートライフスタイルのRPA導入を指揮する音羽 佐智子氏は、通常の業務で多忙な現場の導入負担を吸収できるだけでなく、「野良ロボットなどを発生させないためのガバナンスや統制を効かせるという意味でも有効です」と話す。

 RLSディレクション部はロボット化の企画や、ロボットの運用・管理を実施する。具体的には、リクルートライフスタイルで行われているさまざまな業務の中から、RPA導入の効果が得られそうなものをピックアップ。ロボット化を企画し、コンサルティング企業としてRPA導入で実績を持つビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(以下、BTC)に開発を依頼する。出来上がったロボットはBTCのサポートを受けつつ、音羽氏が中心となって運用、管理する体制だ。

 RPA製品の選定時も、あえて「現場が容易にさわれない」ことを考慮した。リクルートでは、現場の判断でITツールを独自に導入して業務効率化を進めるケースも多いため、現場の判断で導入した野良ロボットが社内に乱立する恐れがある。そうした事態を避けるために、「よりITの専門知識が必要な製品の方が適していると判断しました」と音羽氏は話す。

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