ガートナー ジャパンの調査によると、日本では半数以上の企業がデータを利活用しているものの、ビジネスで成果を得ている企業は少ない現状が明らかになった。
ガートナー ジャパンは2019年5月27日、国内企業を対象としたデータ活用の取り組み状況に関する調査結果を発表した。それによると、全社的にデータを利活用している企業は20%、データの利活用からビジネス成果を十分に得ている企業は全体の3%という現状が明らかになった。
まず、日本国内のユーザー企業にデータ利活用の状況を尋ねたところ、「全社的に利活用している」と答えた企業は20%、「一部の事業・組織で利活用している」と答えた企業の割合は36%で、過半数の企業でデータを利活用していた。
それに対して「経営層から要望があるが、利活用できていない」は8%、「現場から要望があるが、利活用できていない」は10%で、活用したいとの要望はあるもののできていない企業が2割近くあった。また、「利活用しておらず、要望もない」は25%だった。
次に、現時点で活用可能なデータからビジネスに十分な成果を得られているかを尋ねたところ、「十分に得ている」と回答した割合はわずか3%。「ある程度得ている」と回答した34%を加えても、4割に満たない。「あまり得ていない」と回答した割合は31%、「まったく得ていない」は11%だった。
この結果を、データを「全社的に利活用している」と答えた全体の20%の企業に限定して見ても、ビジネス上の成果を「十分に得ている」と答えた割合は12%。データを「一部の事業・組織で利活用している」と回答した36%の企業で見ると、ビジネス上の成果を「十分に得ている」と答えた割合は1%だった。日本では半数以上の企業がデータを利活用しているものの、ビジネスで成果を得ている企業は少ない現状が明らかになった。
今回の調査結果について、ガートナーのアナリストでシニア プリンシパルを務める一志達也氏は「データの利活用からビジネス上の成果は得られているのかを確かめるためにも、現状を把握したり改善を実感したりするにも指標が必要だ」としながらも、「定量的な指標を定め、データの利活用を全社的に根付かせるのは、容易ではない」と、日本企業の現状を解説する。
ではデータの利活用を全社的に根付かせるにはどうすればよいだろうか。一志氏は「データを扱うスキルを備え、ある程度以上の経験を有する人材が組織にいなければ、データを利活用する文化は醸成されにくく、十分な成果が得られない。それだけに、人材の確保は重要だが、多くの企業では育成や採用の取り組みが進んでいない」として、データを扱うスキルがある人材の不足を指摘する。その上で、一志氏は今後日本企業がデータを生かして事業を推進するには「人事部門と協力しながら、長期的、短期的に人材を確保する方法を計画し、文化醸成と人材育成の両面から取り組むことが重要だ」としている。
なお、今回の調査の対象は、日本全国の従業員数20人以上のITユーザー企業。ランダムに選んだ約5200社のうち承諾を得た約2900社にアンケート調査を実施し、750社から有効回答を得た。
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