では、帳票でデータを管理する際に何か課題はあるのか。フリーコメントでは、「OCRの読み込みに掛かる手間や時間がばかにならない」「スキャンする工数の確保が難しい。ファイル名の付与が面倒」「手書きがある場合、データ化が難しい」といった意見が寄せられ、データでの管理工数が想定以上に大きい現状が見て取れた。また「キーワードで全文検索する際の所要時間が長い。または全文検索機能が無い」「ストレージの容量問題の他、うっかり上書きや削除をしてしまう」といったツールの技術的な制限、人的ミスをはじめとした運用課題に直面し悩んでいる企業も少なくないと分かった。
では、具体的に帳票をデータ化するなどして紙文書を削減する企業は、どのような施策を行っているのだろうか。
「自社で取り組んでいる帳票レス化」について聞いたところ、「実行している」と答えた割合は「複合機などを活用したFAXデータのPDF化」(75.3%)、「表計算ソフトを使ったローカルアプリ化」(44.3%)、「帳票Webアプリを使ってデータ化」(24.7%)などが上位に続いた。
一方、「計画している」と答えた割合は「帳票Webアプリを使ってデータ化」(7.6%)、「タブレットアプリの利用」(5.1%)、「複合機などを活用したFAXデータのPDF化」および「表計算ソフトを使ったローカルアプリ化」が(4.4%)と続く結果となった(図2)。
2018年の前回調査時と比較すると「FAXデータのPDF化」について「実行している」と「計画している」を合計した割合が、52.3%から79.7%と27.4ポイント増えており、まずは複合機など身近にある機器の運用を少し変えることで現場の移行に掛かる工数を極力抑えながら帳票レス化に取り組む企業が多いのだと予測できそうだ。
最後にもう1つ興味深い調査結果を紹介したい。回答者全員に対して、これまで帳票管理において何かしらの事件に遭遇したことがあるかを聞いたところ、17.7%の回答者が「ある」と答えた。
具体的な内容としては「個人情報の不適切な取扱い」「送付先を間違えたことによる他社への情報漏えい」など管理不備によって情報漏えいが発生したケースや「ファイリングされているはずの書類が1冊分見当たらなかった」「公的機関に提出しなければならない証拠書類が見つからず、その後の手続きを断念したことがある」といった帳票の紛失事故の経験などが寄せられた。
中にはこうした事件の結果「もう少しで取引停止になりかけた」といった声もあり、帳票管理の必要性をあらためて感じる結果となった。紙であれデータであれ、自社にあった帳票管理体制をしっかり検討して整備していく必要があるだろう。
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