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スマホやSNS、若者のメンタルに危険? 安全? 最新研究が予想外の結論を導き出して話題に:527th Lap

スマホで動画サイトやSNSにかぶりつきの子供たち。どう考えても心に悪影響がありそうだけれど、最新の研究成果はが斜め上の結論を導き出して話題に。もしかして、非デジタルネイティブ世代の妄想だった………? 真相やいかに。

» 2019年08月30日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 子供たちの長い夏休みがそろそろ終わる。地方や地域によっては「もうとっくに終了してるよ」ということもあるかもしれない。夏休み明けの時期を迎えると、10代の少年少女らは心を病みがちとなり、ついには自死を選ぶまでにもなってしまうらしい。

 この場合、夏休みが終わってしまうことこそが若者のメンタルヘルスを悪化させてしまう原因なのだろうが、そうでなくとも最近の若者たちはメンタルヘルスを病みがちであるという。そんな若者のメンタルヘルスに影響を与える要因としてスマートフォン(スマホ)やSNSが名指しされることもある。

 デジタルネイティブである現代の若者たちがスマホやSNSに日常的に触れているところを目撃すると「そういうこともあるのかなあ」と思わないでもない。ふわっと「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」と感じていたことについて、明確な結論を提示する研究結果が発表された。それは一体……?

 2019年8月20日に米匡の臨床心理学の学術誌である『Clinical Psychological Science』に、カリフォルニア大学アーバイン校の心理学教授Candice Odgers氏が率いる研究チームの論文が掲載された。この研究結果はその後、『ScienceDaily』など複数のメディアが大々的に紹介して話題となった。

 最初に結論を言ってしまえば、「10代の若者たちがスマホやSNSといったデジタルがらみのものを使用しまくったからといって、メンタルヘルスに影響は及ばない」というもの。

 研究チームは、ノースカロライナ州の公立学校に通う10〜15歳の青少年388人に対して、1人当たり14日間のEMA(経験サンプリング法、日記法、生体学術瞬間評価とも)を実施した。EMAとは、被験者に実験期間中の自分の思考や感情、行動、環境などなどを適宜回答、報告してもらうことで心理状況の克明な変化を評価する調査方法のこと。

 今回の実験では、被験者である青少年たちが1日当たり3回、自身のメンタルヘルスについての質問に回答。同時にその日のデジタルデバイスの使用状況も報告した。実験では合計1万3017件ものデータを記録した。

 多くの回答者が「今日はデジタルデバイスを長時間使った」という日でも、メンタルヘルスに変化は見られなかったという。また当初からメンタルヘルスにある程度の問題があった被験者についても同様だった。逆に、調査期間中にメールやメッセージを多数送った被験者は、送信数が少ない人たちよりも「気分の落ち込みが少ない」というデータも取得でき、使いようによってはスマホやSNSがメンタルに良い影響を及ぼすことを示すデータも得られているという。

 Odgers氏は「スマートフォンやSNSが青少年のメンタルヘルスに対して良いか悪いかを議論することよりも、オフラインとオンラインの両方の生活で彼らを最もよくサポートする方法を考え始めるときだ」と話した。また研究チームの1人、ノースカロライナ大学グリーンズボロ校の心理学助教授・Michaeline Jensen氏は「スマートフォンとネットを使いまくる青少年がメンタルヘルスを損ねるという俗説はもはや支持すべきではない」と結論づけている。

 と、今回の研究チームの調査の結論としては以上の通りだ。「メンタルヘルスに影響があるかどうか?」という観点からみれば、実はスマホやSNSが影響することはなさそう、という結論で落ち着いている。とはいえ、その他のさまざまな調査研究で別の結論が出ていることも確かなので、絶対に影響がないと楽観視するわけにはいかないだろうが、ひとまずはこれで様子を見てもいいのではないか。


上司X

上司X: スマホやSNSは10代の青少年たちのメンタルヘルスに影響を与えない、という話だよ


ブラックピット

ブラックピット: ちょちょちょちょ! ちょっと待ってくださいよ


上司X

上司X: なんだい? 「ちょ」が多いけど。


ブラックピット

ブラックピット: このニュースの1週間ほど前に「スマホとSNSが若者のメンタルヘルスに悪影響を与える」って記事を見たばかりな気がするんですけど。


上司X

上司X: ああ。俺も見た。ロンドン大学(UCL)の小児保健研究所の研究チームによる調査(https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(19)30186-5/fulltext)な。


ブラックピット

ブラックピット: 把握してるんじゃないですか。それなのに何でしれっと「様子を見ようではないか」とかで締めてるんですか?


上司X

上司X: いやさ、そんなこと言っていたら全部の研究が本当かどうかに言及しなきゃならなくなるだろう? 実際調べてみたんだけど、スマホとメンタルの関係についての調査研究結果なんて星の数ほどあるんだってば。だから今回話題になった「問題なし」っていう研究結果を紹介したまででね。


ブラックピット

ブラックピット: じゃあ「問題あり」って結果があって、それが話題ならそちらを取り上げる可能性もあるというんですね? ……ならいいや。


上司X

上司X: いいのかよ! 納得が早いなぁ、おい。ともかく、スマホやSNSは若人たちのメンタルを害するモノではないということ。そんな大それた存在じゃないってワケさ。それを制限するのは、意味があるとはいえない、心配ご無用ってとこだな。今回はそれでいいじゃないか。な?


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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