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「Ice Lake」と「Comet Lake」の違いは? 2020年の主力PC「Wi-Fi 6対応、AIブースター付き」で何ができるか

インテルがようやく次世代のPC向けプロセッサを発表した。中でも注目なのが、軽量PC向けに作られた「Ice Lake」と「Comet Lake」と呼ばれるプロセッサだ。

» 2019年11月08日 08時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

競合が猛追する中、遅れてきた第10世代Coreシリーズ

 「第10世代インテル Core プロセッサー」が発表されたのは2019年8月のことだった。このうち「第10世代Core iプロセッサー」群は、モバイルPC向けの製品で、10nmプロセスで製造される「Ice Lake」シリーズと、14nm++プロセスで製造される「Comet Lake」シリーズの2ラインの製品に分類される。2019年10月上旬、インテルは都内でこの「第10世代インテル Core プロセッサー」のモバイルPC向け製品群についての発表とデモ展示を行った。

「Ice Lake」と「Comet Lake」の違いは

 「Ice Lake」と「Comet Lake」はいずれもモバイルPC向けのプロセッサーであり、両者とも「Wi-Fi 6」や「Thunderbolt 3」、「Optane Memory H10」といった最新テクノロジーに対応するものの、得意分野がやや異なる。

 端的に言えば、Ice Lakeはマルチメディアに関する処理に適していて、Comet Lakeはオフィスなどで生産性を求められるような処理が得意なのである。

 Ice Lakeは、新アーキテクチャ「Sunny Cove」を採用し、内蔵グラフィックス機能が強化された。上位モデルでは第11世代「Iris Pro Graphics」が搭載され、グラフィックスカードを追加しなくてもスムーズな画像描写が可能だ。またAI推論命令セット「インテルDL(ディープラーニング)ブースト」やAI処理アクセラレーター「インテルGNA(Gaussian mixture model and Neural network Accelerator)」を搭載したことで消費電力を抑制しながらAI系の処理高速化も実現した。

 一方のComet Lakeは、最大6コア/12スレッドのハイパフォーマンスモデルが用意されることからも分かるように、高い処理能力で生産性を高めることを狙った設計だ。グラフィックス処理能力よりも快適にオフィス業務をこなすのに適している。

 

インテル 技術本部部長 安生 健一朗氏 インテル 技術本部部長 安生 健一朗氏。「第10世代インテル Core プロセッサーはいずれも、Project Athena(プロジェクトアテネ)に沿ったプラットフォーム。ノートPCのモダン化、スマート化を実現する重要な製品となるだろう」とコメント

手元のノートPCが「深層学習処理をブースト」すると、どうなる?

 ここからは第10世代インテル Core プロセッサーの各種機能デモや搭載PC(プロトタイプ含む)を見ていく。

 まずは「インテル DLブースト」機能についてのデモを見てみよう。Topaz Labsの「Gigapixel AI」はHD動画および静止画を、AIを活用して4Kに補完するアプリだ。この補完処理に使われるAIの演算にインテル DL ブーストが貢献する。

opaz Labsの「Gigapixel AI」のデモの様子 opaz Labsの「Gigapixel AI」のデモの様子
Gigapixel AIの画質補正。左がHD画質。AIによる補完によって、描画が甘かった画像の画質を右の4Kクオリティ画質に補完しているのが見て取れる Gigapixel AIの画質補正。左がHD画質。AIによる補完によって、描画が甘かった画像の画質を右の4Kクオリティ画質に補完しているのが見て取れる

Optaneの力を借りた高速処理が可能なハイブリッドSSD、Wi-Fi 6認定製品の展示も

 次はメモリーに近い高速さを武器とするストレージ「Optane Memory H10」のデモだ。

 Optane Memory H10は、NANDメモリーよりも高速で低遅延な「3D XPoint」を採用した「Optaneメモリー」とSSD製品「3D QLC NAND SSD」を単一基板に実装した「ハイブリッドSSD」。「サイズの大きなファイルをコピーしながら開く」といった高負荷な処理でも、応答が遅れることがない。デモではOptane Memory H10が従来の一般的なSSDの4倍ものパフォーマンスを発揮していた。

Optane Memory H10のパフォーマンス Optane Memory H10のパフォーマンス 左がOptane Memory H10、右が従来のHDDだ

 「Wi-Fi 6」もまた、第10世代インテル Core プロセッサーで完全サポートされる新たな規格だ。すでにWi-Fi 6 Certified(認証済み)製品が登場しつつあり、今後のWi-Fi規格の主流となっていく。会場でもCertified製品が展示されていた

サブモニタが立った! ツインディスプレイPCのプロトタイプ

 下の写真はクラムシェルタイプのノートPCの形状ながら、本体に2基のディスプレイを搭載する、ツインディスプレイPCのプロトタイプ製品だ。写真手前のモデルはキーボード近くにあるサブ画面部分を立ち上げて利用できる。なお今後、「Intel」のロゴを冠した製品も登場する可能性があるという。

ツインディスプレイPCのプロトタイプ ツインディスプレイPCのプロトタイプ

 次のデモはツインディスプレイ搭載PCの派生モデルとして展示されていたもの。キーボード部分もタッチパネル搭載液晶になっていて、ヨコ開きで使用することであたかも開いた本と同様の形状でコンテンツを楽しめる。

ツインディスプレイを横置き ツインディスプレイを横置きに

 第10世代インテル Core プロセッサーを搭載するPCは全て「Thunderbolt 3」に対応するため、ポート搭載も必須だ。Thunderbolt 3はUSB 2/3/4およびPCIe、Display Portといったインターフェイスの上位互換だ。

「Thunderbolt 3」に対応 「Thunderbolt 3」に対応
Wi-Fi 6 Certified製品の展示 Wi-Fi 6 Certified製品の展示
発表の場に立ったインテル執行役員常務 技術本部本部長 土岐英秋氏 発表の場に立ったインテル執行役員常務 技術本部本部長 土岐英秋氏は「Coreシリーズにおいては、2006年に発表されたCore 2 Duoからほぼ2年おきにアーキテクチャが更新されてきたが、2015年のSkylakeからこのIce Lakeまではやや期間が空いた」と、今回の発表がPCベンダー、関連メーカーにとっても待望のアップデートだったことを強調した。
インテル執行役員でパートナー事業本部本部長の井田 晶也氏 インテル執行役員でパートナー事業本部本部長の井田 晶也氏は2020年の東京五輪を「革新的なテクノロジーを披露できる絶好の機会」と位置付け、コラボレーション事業の展開、eスポーツの推進に注力することを説明。

手元でAI処理もこなす快適体験

 これから2020年にかけては、この第10世代インテル Core プロセッサーを搭載したノートPCが主力製品として各ベンダーから登場する見込みだ。Ice Lakeはグラフィック機能の向上が注目されがちなため、ともするとコンシューマー向け製品の強化と認識されているかもしれない。しかし実際のところAI処理の向上やWi-Fi 6、Optane Memory H10の採用やThunderbolt 3など、ビジネスシーンにおける「快適さ」が向上する機会であることも間違いない。

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