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RPAの“すごさ”が分かる「今までできなかった自動化」の実現──UiPath新製品群を日本法人担当者が解説

» 2019年11月27日 10時00分 公開
[相馬大輔RPA BANK]

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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールを展開するUiPath は2019年10月、既存製品への改良に加えて10を超える新製品を発表。2020年上半期までに順次リリースすることを明らかにした。

同社が新たな製品ラインアップで描く戦略については、トップによるプレゼンテーションの概要を別記事でレポートしたが、自社に合ったRPA活用法を探るユーザー視点でみたとき、今回出そろった製品群にはどのような意義とメリットがあるのだろうか。日本法人のUiPath株式会社でプロダクトマーケティング責任者を務める原田英典氏に聞いた。

■記事内目次

1.広く深く、製品カテゴリーと機能強化の2軸で拡充。社内開発を加速させる「StudioX」

2.先進ユーザーに学んだ大規模運用のノウハウを製品化

3. RPA活用に向けた課題解決を「あらゆる角度から支援」


広く深く、製品カテゴリーと機能強化の2軸で拡充。社内開発を加速させる「StudioX」

─今回の新製品は盛りだくさんです。まずは一言で、ポイントを教えてください。

従来からUiPathが提供してきたコア機能をさらに強化する「縦軸」に加え、関連する周辺領域にまで製品カテゴリーを広げる「横軸」が加わったことです。

機能強化部分でのトピックは、現場での活用に適したロボット開発ツール「StudioX」が2020年1月にリリースされることです。UiPathは日本市場を非常に重視しており、StudioXも国内ユーザーの要望をもとに開発されました。 StudioXの登場で、より簡単な操作でロボットをつくることが可能となり、UiPathがさらに日本でのビジネス業務に適したRPAになると思います。

─StudioXは、従来の開発ツールとどう違うのでしょうか?

「現場」が力を持ち、業務改善でも「自分たちの創意工夫で進めたい」というニーズが強い日本企業にとって、各事業部門からのボトムアップでも取り組めるRPAは非常に相性のよいツールです。一方、UiPathの従来製品「Studio」ではロボットの開発にあたって「変数」「型」といったプログラミング関連の知識を求められる場合があり、これがプログラミングを詳しく学ぶ機会がなかったユーザーにはハードルになっていました。

そこで、「変数」「型」などの要素をなくし、多くの人が直感で操作できることを追求した RPA開発ツールがStudioXです。「プログラミングには詳しくないが業務知識は豊富で、改善や効率化にも意欲的」という、本来もっともRPAを必要としていた方々にマッチした製品だと考えています。

先進ユーザーに学んだ大規模運用のノウハウを製品化

─より使いやすいStudioXなどが縦軸に加わった一方、横軸にラインアップが広がったのは、なぜですか?

UiPathが国内展開を本格化したここ3年ほどで、順調に活用規模を広げるRPAユーザーが増えてきたと思います。一方で、現状よりもいっそう効果の高いRPA活用ができないかと課題感を持つユーザーもいらっしゃいます。

ユーザー調査を行ったところ、順調に活用を進めるユーザーは、RPAを用いて組織全体の改革に取り組むアプローチを確立しています。もちろんそうした活用を軌道に乗せるまで、外部の専門家にサポートしてもらうこともできますが、費用面ではハードルが高い。そこで、ツールを提供する私たちが先進ユーザーの運用ノウハウを学び、得られたエッセンスを製品に変えて提供しようというのが、今回ラインアップを横方向に広げた狙いです。

─ロボットを「開発・管理・実行」するコア部分から両側に広がった横軸は、開発の前段階である「計画」、実行の後段階となる「協働」「測定」のプロセスをカバーしています。それぞれに属する代表的な製品について教えてください。

自動化する業務やワークフローを検討する「計画」プロセスでは、RPA推進部門が業務の現状を把握するため現場にヒアリングを重ねるなどの手間や時間がかかっていました。これを効率化するのが、UiPath Explorerファミリーの「Explorer Expert」と「Connect Enterprise」です。

これらを用いることで、PC上で行う作業を記録し、順を追ったスクリーンショットにプロセスの解説文を添えたファイルが簡単に作成できます。さらに、作業を自動化したときの効果がまとめて比較できるため、ロボット開発までのコミュニケーションが格段にスムーズになります。

「協働」のプロセスが想定するのは、「ロボットの処理結果を承認する」あるいは「ロボットで対処できない例外処理のカバー」など、人間がロボットと連携するための仕組みが必要な場面です。今回UiPathは「自動化したプロセスに人間の判断を組み入れる(Human in the loop)」というコンセプトを掲げ、ロボットから適切なユーザーへの承認や情報インプットを依頼したり、人間側のタスク管理をまとめて行ったりできる製品「Apps」を用意しました。これにより、長期間にわたる事務処理にもロボットを適用することができます。また、タスク完了を待つロボットは他の作業を行うので、ロボットの稼働効率が向上します。

開発したロボットが実運用に入ると、今度は稼働状況を管理し、効率化の達成度を定量的に把握して次の取り組みにフィードバックさせなくてはなりません。この「測定」プロセスを効率化する製品が、さまざまな情報を集約・可視化する「Insights」です。実績値をもとに目標値を達成できるかAIが予測するほか、主要なビジネスインテリジェンス(BI)ツールとの連携機能も備えています。

RPA活用に向けた課題解決を「あらゆる角度から支援」

─新たな製品群によって「今からRPAに取り組むユーザーや、ロボット数体の活用にとどまるユーザーを、数10体規模まで一気に伸ばせる」と、ダニエル・ディネスCEOは強い自信をみせていますね。

はい。それは縦横両軸の製品強化で「今までできなかった業務自動化を実現できるようになったから」でしょう。

従来ロボットの活用拡大が進まなかった理由としては

・ロボットが実行できる操作の制限

・活用アイデアが頭打ち

・ロボットと人が協業する業務フローをうまく設計できない

・ロボット化による定量効果を十分把握できず投資しづらい

などが代表的なものだと思います。UiPathが今回そろえた製品は、これらの課題にすべて対応しました。

これからRPAが「ハイパーオートメーション」と呼ばれる、様々なシステムをいっそう緊密につなげて自動化していく段階に進むなか、数体規模にとどまるロボット活用は、RPAで実現可能な業務改革が「ほとんど始まっていない」状態といえます。多数のロボットを駆使して社内業務を処理する世界を知れば、これまでの自動化に収まらないRPAの真の可能性がご理解いただけると思います。

主要企業への導入がほぼ一巡した今だからこそ、「やはりRPAはすごい」と実感できるユーザーを増やしていきたい。そのために今回あらゆる角度から、プロダクトを通じて自動化拡大を支援できる体制が整ったということです。

─RPA推進担当者の所属部門やポジションは、企業によってさまざまです。新たなソリューションで課題を解決するイメージをいくつか教えてください。

例えば、社内から自動化のアイデアを探す立場のRPA推進担当者が「よいアイデアが集まらない」と悩んでいる場合、現場が負担に感じている業務内容を「Explorer Expert」でまとめてもらい、集まった結果への対応を「Connect Enterprise」で進めれば、RPA推進の立場だけでは思いつかなかったような、実践的な業務自動化が実現できると思います。

また「IT担当者がいない拠点でRPAを採り入れたいが、プログラミング知識がハードルになっている」というケースでは「StudioX」を使うことで、拠点の業務に適合した”かゆいところに手が届く” 自動化を自作することもできます。

さらに、個別部署のボトムアップが相当程度進んだときには、クラウド版 RPAである「UiPath Cloud Platform」をお使いいただくことで、既存のRPA環境を無駄にすることなく、また最小限の追加投資で集中管理型のRPAに移行していくこともできます。

─ここまでのお話で関心を持った読者に向けて、最後にメッセージがあればお願いします。

UiPathのソリューションを無償でお試しいただける「UiPath Commyunity Edition」が Cloud Platform版へ移行し、サインインするだけで利用可能になりました。 UiPathプラットフォームの新製品も、順次UiPath Community Editionにおいて利用可能になります。また、ユーザーの皆さまに対しては随時、UiPathソリューションの最新情報を提供していきます。

これを機にぜひ、新しくなった UiPath Community Edition をお使いいただき、ハイパーオートメーションの時代に向かうUiPathのRPAに触れてほしいと思います。

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