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セキュリティ大手のカスペルスキーが新しいアンチ○○を送り出す:540th Lap

セキュリティ大手が次に目を付けたのは意外な分野だった。カスペルスキーが世に送り出す新しい「アンチ○○」って?

» 2019年11月29日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 自律式の無人航空機「ドローン」。スマホなどを使って気軽に遠隔操縦できることもあり、日本でもここ数年で一気に普及が進んだ。不法行為や迷惑行為などで一時期ニュースを賑わせたことも記憶に新しい。最近では法的整備が進み、ある程度の規模のドローンの操縦には免許証のようななものが必要になったり、飛行可能空域が明示されて飛行を規制されたりと、かなりルールが整備されてきた。

 それでも日本だけでなく世界中で不法行為に及ぶドローンが増えている。その対策が急務だとして、不法ドローンに対抗するシステムを、セキュリティ対策ソフトの開発で有名なあのKaspersky(カスペルスキー)社が開発したのだという。それは一体どのようなものなのだろうか?

 カスペルスキーが開発したのは、その名も「Kaspersky Antidrone」。アンチウイルス企業による「アンチドローン」というわけだ。2020年初頭から提供が開始されるという。

 Kaspersky Antidroneは、幾つかのハードウェアモジュールとソフトウェアで構成される。使用する際は、ビデオカメラとレーダー、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging、レーザー検出測距装置)、オーディオセンサーなどが実装された「初期探知モジュール」と呼ばれる装置を特定の場所に設置する。

 “特定の場所”というのは、例えばドローンの侵入を許したくない私有地や、法的に飛行禁止区域になっている場所だ。ともかくそういう場所に設置された初期探知モジュールが、各種ハードウェアの機能を使ってその領域を監視する。

 レーダーやセンサーが飛行する物体を発見すると、LIDARがその位置を特定。カメラでその飛行物体を監視しつつ、その情報を専用サーバに送信する。サーバの専用ソフトウェアは、その飛行物体がドローンに該当するかどうかをニューラルネットワークを使った機械学習、簡単に言えばAIを使って判別する。

 ドローンと判別されたら、今度は「ジャミングモジュール」にサーバからコマンドが送信される。モジュールはジャミング電波を発信してドローンとコントローラーの通信を妨害する。多くのドローンは操縦者の持つコントローラーとの通信が断絶するとその場で降下して着陸するか、発進地点へ戻る仕様になっている。

 ドローンに対して物理的に接触したり、破壊したりといった攻撃をしないので、不審者とはいえ第三者のドローンをうっかり損傷して、もめ事に発展するということもないという。Kaspersky Antidroneの開発プロジェクトチームの多くはそれぞれドローンパイロットの経験があるというのも関係しているようだ。

 プロジェクトチームの責任者であるウラジーミル・トゥーロフ氏によれば「ドローンパイロットの全員が飛行制限区域を把握しきっているわけではない。ドローンが物理的手段で不意に攻撃されることでそれがドローンパイロットにとってストレスとなることもある。そのため、安全に対する要件を整えてKaspersky Antidroneを開発し、ドローン愛好家の利益を損ねないようにした」と説明した。

 世界のドローン市場は2018年時点で140億ドル、2024年までには430億ドルに達すると予測されている。商品配達や地質探査など人間の作業を楽にする手段としても活用が期待される。「危険だから」「プライバシーの侵害だから」ということで飛行を阻害するばかりでなく、適切に制限することで活用を促進する。そういう意味でも、このKaspersky Antidroneのような新たな技術に期待が持てるというものだ。


上司X

上司X: 不法ドローンを防御する技術が開発された、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: ほえー、あのカスペルスキーさんですか。アンチドローンねえ。


上司X

上司X: そう。セキュリティ対策ソフトの大手といえる国際企業、あのKasperskyだ。


ブラックピット

ブラックピット: なぜドローン? ……っていうのはまあ聞くだけムダですかね。


上司X

上司X: まあ普通に考えて、今後のドローン市場を考えたらどこかで抑止力が必要なのは間違いないからね。まさに今までセキュリティ対策ソフトがウイルスやらマルウェアやらを防ぐことでネットの安全を保ってきた。


ブラックピット

ブラックピット: なるほど、今度はドローン界のセキュリティを確保すべく活躍する、ということですね!


上司X

上司X: まあそういうことさ。2024年には430億ドルもの市場になるんだ。こりゃ安全を確保できる技術を持ったら、それこそ星の数ほどあるセキュリティ対策ソフトの市場で覇権を握ったのと等しいようなことになるだろうって。


ブラックピット

ブラックピット: ですよねえ。Kasperskyさんのセキュリティ対策ソフトを使ってみたりしたこともあります。が、まあね、その辺は好みということで。ドローンの未来を守っていただくことには期待しまくりですが! ふふ、空の秩序と巨大な市場を守るためにね!


上司X

上司X: そういう微妙な言い回しはやめてくれよ(苦笑)、ともかく今回の防衛システムは、ドローン操縦者にとっても不本意に愛機を失うようなことがないような仕組みなんだ。ドローンパイロットの全員が悪いわけじゃない。パイロットの、ドローンの自由と権利を守るために、期待しようじゃないか、な?


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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