5Gに熱い視線が注がれている。日本でも2020年春ごろに通信キャリアによる正式サービスの提供が予定される。高速で帯域幅が広く、遅延も少なく複数台がつながっても信頼性が高い、とにかく期待できる新たな通信規格だ。
新技術の5Gが注目されるのは当然だ。停滞期を迎えたスマートフォン市場にカツを入れる起爆剤になり得るとメーカーやキャリアは期待する。ところが、5Gサービスによって天気予報の精度が30%も下がるかもしれないという。1980年代レベルの水準まで退化するという人もいる。何で5Gが天気予報に影響するのだろうか。
天気予報には気象衛星の存在が欠かせない。衛星の各種センサーによって地表温度や雲の動きといったデータを計測、収集して、それを分析することで天候の推移を予想する。最も重要なのはマイクロ波を使って大気中の水蒸気を計測して得られるデータだ。湿度や雲の発達予測が天気予報のキモになるのだ。
このマイクロ波「高性能マイクロサウンダ(AMSU)」の周波数帯は23.6〜24GHzだ。そして5Gの通信に使われる周波数帯も24GHz。つまり両者の電波が干渉する可能性がある。1980年代の水準に戻るとは、当時の気象衛星がこの機能を持っていなかったからというわけだ。
警鐘を鳴らすのは、米海洋大気庁(NOAA)や米航空宇宙局(NASA)に所属する気象関連の研究者だ。実は2019年春、米国内で帯域を利用するキャリアを決める電波オークションを制止するために彼らは声を上げていたのだが、連邦通信委員会(FCC)は「影響はない」とスルーした。
かくして電波オークションは実施され、通信キャリアが決まった。その後、2019年10月28日からエジプトで開催された世界無線通信会議(World Radiocommunication Conference、WRC)で「5Gで気象衛星がやばいんじゃないの?」という議論が沸き上がったのだ。
話し合いの結果、近い周波数帯に影響を与える「帯域外発射」を制限することで合意した。2027年9月までは-33dB以下、それ以降は-39dB以下に制限する。それでも専門家は「5Gが気象衛星に与える影響は小さくない」と心配している。
NOAAの研究者たちは「水蒸気データの計測が不十分になったとしてもAIで補完できるだろう」とも考えているようだが、実際のところは不透明だ。ともかく天気予報は私たちの生活に関係が深いものだ。何も起こらなければいいのだが……。
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上司X: 5Gサービスが天気予報に影響を与えるかもという話だよ。
ブラックピット: 5Gは楽しみではありますけどね。
上司X: 天気予報に影響を与えるとしてもかい?
ブラックピット: 何と言いましょうか。天候に影響を与えるなら大問題かもしれませんが、天気予報の可能性の話でしょう?
上司X: うん、そうだな。
ブラックピット: もはや人間の英知の及ぶことじゃないですか。天気自体は変えられないわけですから、予報が外れたとしても「それはそれ」じゃないですかねえ。
上司X: そういうものか?
ブラックピット: 多少天気予報が外れようが、今となっては欠かせないスマホの使い勝手が5Gで良くなるわけですよ。僕は予報が外れて雨にぬれたっていいですよ。
上司X: なるほど、キミのような考え方もあるのだなあ。できればスマホの性能アップに期待したいが、何とかして天気予報の精度もキープしてほしいと思うのは欲張りすぎかい?
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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