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トレーニングと導入サポートでRPAスキルを身につけ自社開発に成功──フエニックス・コンタクトの導入事例

» 2020年01月09日 10時00分 公開
[RPA BANK]

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RPA BANK

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に興味はあるものの、価格の高さや操作の難しさを懸念し、導入に踏み切れない企業は多い。そもそも、自社の業務にRPAが合うのかも不安な点だ。

ドイツに本社を持つ、産業用接続機器のトップメーカー、フエニックス・コンタクトの日本法人も同様の悩みを抱えていた。同社はRPAの活用可能性を探るなかで、まずは無料のハンズオンセミナーを受講。その後、各種トレーニングの受講や簡易な導入サポートを経て、RPA導入に踏み切った。

「RPAって何?」という状況から、どのようなステップを経て導入に至り、現在ではどんな効果を上げているのか。導入部門の担当者2人に話を聞いた。

■記事内目次

  • 1.無料ハンズオンセミナー、ビギナー向けトレーニングで基礎を習得
  • 2.30日間の無償期間で「もう戻れない」と実感
  • 3.毎日2、3時間かかっていた属人的業務をRPAで完全自動化

無料ハンズオンセミナー、ビギナー向けトレーニングで基礎を習得

──まずは貴部署の業務内容について教えてください。

阿部美穂子氏(営業推進本部 川崎ディストリビューションセンター長): 弊社の生産拠点は中国やドイツなど海外にあり、それらの国から取り寄せた製品を日本のお客様に提供していますが、その入出荷や在庫管理をしているのが当部署の業務です。

──RPAに着目したきっかけを教えてください。

阿部: 2018年夏に弊社の中国の拠点を訪問した際、彼らがRPAを導入して業務改善に取り組んでいることを教えてもらいました。私たち日本法人は、その時までRPAのことを知りませんでした。業務の効率化は常に課題としてあったので、RPAでどんなことができるかと思い、まずは書籍やネットで情報収集を始めました。

ツールについても調べたところ、インターフェイスが日本語で、プログラミング言語を知らない私たちでも使える製品として、WinActorが候補に挙がってきました。そこで、WinActorのセミナーを受けてみようと探し始めました。

横内大智氏(営業推進本部 川崎ディストリビューションセンター ロジスティクスグループ): もしRPAを導入するとしても、ロボット作成や運用は外部に委託せず、すべて自分たちで行いたいという考えがありました。もともとITリテラシーに自信がなく、RPAの導入を通じて自社にノウハウを蓄積していきたいという思いがあったためです。そして、RPA導入に対して自信がない当社でもRPAの運用を自走できるようになるセミナーで、かつできるだけ受講費用が安いものとして探したところ、SBモバイルサービスの無料ハンズオンセミナーが見つかり、2019年1月に受講しました。

──セミナーの内容や、参加しての感想は?

横内: 2時間ほどかけてWinActorを操作しながら、簡単なシナリオを作成するセミナーでした。実際にやってみると、本当に簡単に自動化できてしまうことに感動し、RPA導入への興味が高まりました。そこでRPA導入を本格的に検討するために、RPAの基礎が学べるSBモバイルサービスの有料WinActorトレーニング「ビギナーコース」を受けることにしました。

ビギナーコースでは、WinActorの操作方法や基本の処理単位であるノードを理解してシナリオ作成をするなど、1日かけて学ぶことができました。ところどころ難しい部分もあったのですが、講師以外にスタッフが何人もいて、手を上げるとすぐに教えてくれたので、疑問はすぐに解決できました。基礎を身につけるには最適な研修だったと思います。

30日間の無償期間で「もう戻れない」と実感

──ビギナーコースの受講後、導入まではどのような経緯がありましたか?

阿部: ビギナーコースの受講によって、RPAが有用なことはわかりましたが、自社の業務に適用できるかどうかは、まだ疑問でした。というのも、当社で使っているERPシステムは一般的なものではないからです。

そこで今度は、2019年4月にSBモバイルサービスが提供する「お試し導入サポート」を利用しました。RPAコンサルタントが来社して、2時間程度で、業務の一部のシナリオを開発してくれるというサービスです。

その時私たちがお願いした業務は、実はかなり複雑なものだったようなのですが、コンサルタントの方はそれでも粘り強く取り組んでくれて、ありがたいやら申し訳ないやら……。

横内: あのお試し導入サポートの時に、シナリオ開発をするプロセスを間近で見ることができ、非常に勉強になりました。その後、「30日無償ライセンス」を提供していただき、自社システムに適用できるかさらに自社内で検証を1ヶ月程続けました。

途中でまた少し疑問点が出てきたので、今度はSBモバイルサービスが提供している有料のWinActorトレーニング「エキスパートコース」に参加しました。2日間みっちりと、シナリオ作成やエラー対応、例外処理を学ぶ研修です。これによって疑問がすべてクリアになりました。

阿部: その頃には、すでにいくつかの業務をRPA化していました。無償ライセンス利用期間の終了が近づいた頃には、RPAを使った業務プロセスが当たり前になってしまい、「もう元の状態に戻したくない」と思うくらい。

そのまま導入するという決断に至りました。導入する直前にはSBモバイルサービスから、「次期バージョンが出るから1週間待ったほうがいい」ともアドバイスをいただきました。本当にユーザーフレンドリーな会社だと思いましたね。

毎日2、3時間かかっていた属人的業務をRPAで完全自動化

──WinActorをどのような業務に適用し、どんな効果がありましたか?

横内: 購買発注に関する業務に適用しました。在庫の状況を見てドイツ本社に製品を発注するという業務です。3つのシステムを使い分ける必要があり、納品先など分岐条件もさまざまで、慣れている人にとっても面倒な業務で、毎日2〜3時間かかっていました。これをRPAにより自動化して、作業時間はほぼゼロになりました。

阿部: Excelに記録した在庫の棚番号変更リストを元にERPへ登録するという業務も、RPAにより自動化しました。これまで人間が転記していましたが、時間はかかるしミスもある。今はRPAが瞬時にミスなくやってくれるので、在庫精度が上がりました。

RPAを使えば夜中にも自動で処理できるし、休みも与えなくていいし、間違えないし、文句も言わない(笑)。本当にありがたい。RPAでルーチンワークを圧縮できたことで、自分たちは空いた時間をコア業務に専念できるようになりました。

──RPAの活用において工夫している点はありますか?

阿部: 何でもRPAに任せるのではなく、ExcelやAccessも組み合わせて使い、RPAにはなるべくシンプルな操作をしてもらうことです。

たとえば、データの整理やExcelマクロの設定など、ある程度のところまでは用意しておいて、その先はRPAに任せる。そうすればRPAを動かした時にエラーが起きづらい。業務が変更になっても、Excelを修正するだけで、RPAを作り直す必要はありません。できるだけフレキシブルに運用できるよう工夫しています。

また、RPAが行った処理の「見える化」にも取り組みました。RPAが実際にどの作業をしているのか、どのくらいまで進んでいるかがなかなかわかりづらいと感じていました。そこでRPAに、業務の一つの手順が終わるごとに「処理済み」とExcelに書き込ませています。業務報告を細かく出してもらうようなイメージです。

そうすると、状況をリアルタイムで確認できるし、万が一エラーが出ても、どこで止まったのかがすぐにわかります。このような工夫のポイントも、SBモバイルサービスの研修やサポートで習得することができました。

──今後の展開は?

阿部: たとえば入出荷業務にバーコードリーダーを取り入れて、そこにRPAを絡めて効率化につなげられればと思っています。また、毎日行っているデータ収集とレポート作成の業務もRPAで自動化していきたいですね。

ゆくゆくは全社でRPA等の情報技術活用による業務の自動処理化を推進したいのですが、新しい情報技術を導入する前提として、業務の標準化及び体系化が必要であると考えています。まずは、現行手順の見直し及び標準化と体系化に取り組みたいと思っています。

──ありがとうございました。

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